【R#19】Phase II(8)〜目で見ること、身体で感じること

ロルフィングでは、body reading(身体の観察)する際、歩行動作と立位を観察機会が非常に多い。当初、目で見ることを重視して身体を観察することを心がけていたが、トレーニングも6週間が過ぎると、徐々にそれに変化が現れた。身体で感じることを覚えてきたからだ。
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目で見ることに関して、自分自身の体験談を3つ紹介する。
一つ目はロルファーと一緒に体験したセッション。2人一組になって、私自身が目を閉じて、相手と手をつなぎロルファーがガイドしながら街を散策する。30分間、視覚がない状態でミュンヘンを歩くセッションでは、様々な声、街の音や風の音、英語の音が聞こえたり、足には木が落ちていたり、砂利道、舗装した道路などを感じた。如何に自分は目に頼っているということを感じる瞬間だった。そして目で頼れなくなった結果、歩行の際、皮膚感覚や聴覚、足からの情報、相手の手からの情報などの情報を動員して世の中を把握。五感がシフトする自分がいた。
30分後、今度は目を開けて歩いた。その際に極力使わずに、身体全体を使っていくと、目で見なくても周囲の情報をキャッチできること。また、手を振って、肩や首の力の抜けた歩行ができていること等の発見があった。
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二つ目の体験として、日本にいた頃、ドイツで開発された、ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialogue in the Dark)という暗闇の中で対話することができるイベントに参加した時のこと。横畠文美さんの紹介で知ったこのイベント。15分間であったが、7人の体験者が視覚障害者の案内とともに暗闇へ。真っ暗闇で、目の使えない状況下で、サッカーボールを回す、デコボコした足場を手をつなぎながら歩いていく。お互いに位置を会話しながら進む等。目が見えていない状態で、どのように五感を使うのか?相手との距離感、声を出し合いながら助け合う。つながりを大事にする、等の気づきがあった。
呼吸
三つ目の体験として、上海で視覚障害者からマッサージを受けた時のこと。全員が視覚障害者のマッサージ店で1時間近く施術をうけたのだが、なぜこれほど的確に凝りのある場所を特定し施術ができるのか?驚きとともに、人間は視覚以外に様々な五感を使うことの可能性を感じた。
ロルフィングのトレーニングでbody readingを学ぶ時によく言われるのが、身体で感じること。そして、ロルフィング用語では、このことをFelt sense(感じる感覚)と呼ぶ。実際に、セッションを見ていて(Teacherがクライアントに施術するところを見る)、身体の変化が起きたり、変化に同調、クライアントへの感情移入を感じる瞬間がある。もちろん、施術者はある程度ニュートラルであることは大切だが、身体の変化(felt senseの変化)が出るのは興味深い。
今回は、目を閉じてみることで感じることについて述べてきた。視覚に頼らないと感じる様々な可能性。身体全体がアンテナとなって呼吸の音、匂い、オーラ、全体の雰囲気、感情の起伏などが感じるようになる。
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これからもbody readingする際に(あるいはヨガのポーズを指導する際も)、目のみに頼るのではなく、五感全体を通じてみていけるように磨いていければと思っている。