2014年11月23日

【R#45】身体と心(3)〜Tonic Function(2)

アイダ・ロルフ氏がロルフィングの10回シリーズを考えたときに科学的な理論というのがなく本人のヨガ、オステオパシー、アレキサンダーテクニック等の経験を元に作られた。ロルフィングに科学的に裏付けを行ったのがフランスのロルファーHubert Godard氏だ。前回、Tonic Functionについて触れた(「【RolfingコラムVol.42】身体と心(2)〜Tonic Function(1)」参照)

重力に対してどのようにして筋肉が働くのか?そしてなぜロルフィングが効果があるのか?という疑問にもどついて追究していった結果、 Godard氏はTonic Functionというアイデアに行き着く。

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Godard氏は、筋肉には一時的に働くPhasicと持続的に働くTonicの二つに分け、ロルフィングは如何にしてγ運動神経系を活性化して、身体内のエネルギーの効率の高いTonic muscleを最大限生かしていくか?という観点から身体を説明しようとした。

本ブログでは、重力の環境下で筋肉の質を維持するため(’Keep tone’ of the muscle)、身体内でどういった変化を起こす必要があるのか?について考えてみたい。

キーとなるのが2方向性(Palantonicity)だ(「【RolfingコラムVol.19】2方向性(Palantonicity)」参照)。身体に2つの方向性を与えることによって、Tonic Muscleは整っていくと考えるのだ。

例を幾つか挙げたいと思う。

効率的な歩行を行うためには、下半身は重力を感じる(下向き)、上半身はそれを土台に背筋が伸び、自由に動く(上向き)という2つの方向が必要だ。

椅子に座る際も、足が地に着き、椅子で坐骨を支え(足と坐骨が下向き)、坐骨をベースに上半身を上に伸ばす意識(上半身が上向き)を持つと、もっとも適した動きになる。

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また、「【RolfingコラムVol.36】力を抜くこと(3)〜重力とスペースの意識」で取り上げたが、身体には上・下、前・後、左・右がありそれぞれのスペースを広げる意識を持っていくのがロルフィングだと述べた。これも2方向性を持つ例である。

upper and lower

front and back

side

このように2方向性を身体に与えることによって、我々はどこに向かっているのか?我々はどういった存在で、どう動くのか?を含め知ることができる。このことを英語で動き(Movement)に対してどのようにOrientation(どのように動くのかの位置付け)を決めるのか?が可能になると教わった。

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身体と心のうち、身体を中心に調えるところにロルフィングは特徴があるが、Tonic Functionは他にも、coordination(身体がどのようにして動くか)、 perception(世の中をどのようにみるのか?)、meaning(どのように世の中に対して意味付けを行うのか?)によって影響を受ける。

人間の活動の95%は外部からの情報収集することに費やされる。その受ける情報量が大きすぎると(失恋、不慮の事故や暴力など)、身体に重大な影響を及ぼすことになる。「【RolfingコラムVol.35】身体と心(1)〜深層とトラウマ」で触れたように身体が情報過多に対して対処できなくなり、トラウマという形で深層内に残ってしまう。

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Giovanni先生によると、身体内でそういったものを心の身体の内部に蓄えてしまうらしい。ロルフィングは身体を調えることで、結果的にこれらを解放していく形になるが、施術によって獲得した新しいパターンと過去の古いパターンの狭間でどう自分を整えていくか?(「【RolfingコラムVol.34】古いパターンと新しいパターン」参照)それは、時間のかかるプロセスである。

そうはいうものの、ロルフィングの施術を行うロルファーはセラピストではない。身体と心というのはいろいろなアプローチがあるということをTonic functionの考えは教えているように思う。