【R#66】Phase III(10)〜中間面談

Phase IIIのロルフィング・トレーニングも中間地点。クライアントとのセッションもセッション5まで終わった。Phase IIと同様に、中間の段階では、先生2名と生徒1名による面談が行われる(Phase IIの中間面談については【RolfingコラムVol.24】参照)。
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10分近い面談は、2015年2月26日の午前9時40分頃行われた。

前回のGiovanni Felicioni先生は、実際に日本に短期間滞在し、利賀村で歌舞伎の舞台について勉強をしていたこともあり、日本人に対してどのように接していったらいいのか?よくわかっていた。それに対してJörg Ahrend-Löns先生は、日本人の生徒を教えるのは2人目ということで、当初、
「もし何か不愉快なことや気になることがあったら言ってください」
と気を使ってくれていた。私自身、アメリカに7年間滞在したこともあり、問題はないと思っていた。実際、Jörg先生とアシスタントのAndrea Clusen先生との今回の面談で、それについては問題なく、杞憂であることがわかった。
実際にトレーニングを受けていると、Jörg先生はドイツ人の例に漏れずダイレクトに物事を伝える人だという印象を受けたが、一方で、生徒から「先生として一人で話が多い、もっとアシスタントに話す機会を与えて欲しい」といった苦言・コメントに対して、聞く耳を持っており、どのようにしてクラスをよりよくしていったらいいのか?ということをよく考えてくれる先生だ。
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Phase IIのGiovanni先生は、舞台俳優出身。人類学やアートについて詳しかったこともあり、感性や身体感覚を大事にすることを伝えてくれた(授業については例えば、【RolfingコラムVol.14】【RolfingコラムVol.30】参照)。それに対して、Phase IIIのJörg先生は、理学療法士出身。物事をロジカルに考えるのが得意。今まで学んだ膨大な知識をどのように整理し、一つのフレームワークに収めるか?といったことを長年の経験からよくわかっている(例えば、【RolfingコラムVol.52】参照)。おまけに、アシスタントのAndrea先生は、基礎に忠実にセッションやアドバイスを述べるので、2人の先生から基礎に立ち返ることを学んでいると言える。
中間面談で話題になったのが、自分の強みについて。
Jörg先生は、強みとしてクライアントと対峙する時に相手にSpace(間、空間、隙間等)を与える(Hold the spaceという)ことを挙げてくれた(間については【RolfingコラムVol.55】で取り上げた)。それはまさにGiovanni先生から学び、身につけたかったことだったので嬉しかった。間とGiovanni先生については、別の時期に同先生からPhase IIを学び、フランクフルトでロルファーとしてご活躍の鎌田孝美さんによると、
「Giovanniを一言でいうと、spaceを体現する人。spaceは空間といっても、間といっても、隙間といっても、いいかもしれない。彼は間が人を引き出すスイッチを押すということを本当に自覚しています。セッション中にわざと入れる間、クライアントとのボーダーのとりかた、質問を質問で返して、その人に自分でさぐる間を与えること、etc.」
と「ヨーロッパロルフィング Giovanni Felicioniという人」で書いている。
こういったことを指摘していただいたということはPhase IIでしっかりとその点が身についたということ。本当に嬉しく思う。
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もう一つ、強みとして、Inner perception(自分の内側で感じる知覚)を挙げてくれた。それは、自分で感じることを信じて、それを指針にクライアントに向き合うこと。Phase IIの段階では、学ぶことで精一杯な上、身体を観察すると情報の多さに圧倒。何をやったらいいのか?よくわからなかった。それが、情報に圧倒されないためにも、

  1. 身体観察にたいしてほとんど時間をかけないこと。
  2. 実際にセッションが始まったら身体観察のことを一度忘れ、手で感じたことを信じること。

といったことを心がけるようになった。その結果、Inner perceptionを信じるだけの心のスペース(心の余裕)が生まれるようなった。
興味深いのは、Jörg先生が
「表層(Sleeve)セッションと深層(Core)セッションとどっちの方が得意か?」
といったことを聞かれた時に、深層の方が得意だということ答えた時だった。なぜそのように答えたかというと、うまく説明することができないが、セッションの始めの段階ですでに深層の核となる部分でどのようにセッションを行ったらいいのか?自分の直感や身体感覚でわかってしまうためだ。そのため、深層セッションに入ると、細部に目がいってしまい、それが結果的に手技にも影響することがある。
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Jörg先生が
「クライアントから一歩離れ、表層セッションで行ったアプローチでより広い視野で身体を観察して、その感覚に応じて対処すると改善するよ」
と言われた。これは非常に面白い指摘で、ぜひ来週以降試してみたいと思った。
課題として話し合ったのが、解剖学をもっとセッションと関連づけて学ぶこと。本コラムで呼吸や歩行について解剖学との関連で取り上げようと思っていたのは、自分の解剖学に対する知識の整理という面がある。ぜひ、これは継続していきたい。
あと残り4週間。どういった発見があるのか?そしてクライアントの10回セッションが終わったらどのように変化しているのか?楽しみながら、ミュンヘンの1ヶ月の生活を楽しみたい。