2015年4月5日

【W#131】コスタ・デル・ソルとミハス

スペインの近代史について触れたい。というのも、今回訪れた、スペイン南部のマラガ付近で地中海に面するコスタ・デル・ソル(Costa Del Sol;太陽海岸という意味)の観光地の歴史は近年発展した地域であり、近代史が大きく関わっているからだ。

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スペインは、第二次世界大戦に巻き込まれることがなかった代わりに、1936年〜1939年にスペインの内戦を経験する。内戦を終結させたフランチェスコ・フランコ将軍は独裁体制をとる。フランコ将軍のイニシアチブで’Autarky’(国内企業の保護政策)とよばれている政策がとられる。そしてインフラ及び観光業への投資を集中的に行う。この頃は、スペイン人による高度に経済が発展していたスイス、ドイツやフランスへ出稼ぎによる海外送金がスペイン経済を支えることになる。

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その結果として、1958年から1972年の間に自動車産業はなんと平均で約20%の成長があり、1946年72,000台だったスペイン人の自動車保有台数が1966年には1,000,000台になる。スペイン自動車会社のSEATによって製造されたSEAT600は、1957年から1973年に間に794,000台生産されたそうだ。

インフラについても高速道路建設がバルセロナから始まり全土に広がっていった。そして、観光業は、コスタ・デル・ソルから始まった。観光地として適した理由としてあげられるのが、平均気温が19度、日照は300日以上という天候に恵まれる点。

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最初に観光地化されたのが、トレモノリス(Torremonlinos)。そこに今回滞在することになったが、まさにザ・観光地というイメージの場所だった。そこをベースにマラガを含めた様々な場所での観光地化が進むことで、イギリス、ドイツ、北欧、フランスから観光客が殺到することになる。観光業が全土に広がっていったのは言うまでもない。

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結果的に、1959年から1974年にスペインは「スペインの奇跡」という高度経済成長を体験する。これ以上の経済成長を体験したのは日本のみという素晴らしいものだった。

1969年にフランコ将軍は前国王の孫の息子ファン・カルロスを指名。自らの後継者として教育を受けさせた。1975年にフランコ将軍は死亡。ファン・カルロスがカルロス1世として国王となる。興味深いことにフランコ将軍と同じような道を歩むことなく、1978年にスペインに初めて民主主義体制・立憲君主制が根づくことになる。

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1992年までには成長期が去ったが、1999年、通貨ユーロが導入されるとスペインの経済が再び盛り返す。移民や観光客に増加、住宅ニーズが高まったことにより、急速に住宅・不動産ブームが訪れる。

不動産ブームに伴い、スペイン政府や各自治体は銀行や建設業者と共同で、インフラ整備や公共投資へ凄まじい勢いで投資が行われることになる。特に、イギリス人、フランス人、ドイツ人などは海辺のリゾードに限らずスペイン各地に物件を購入した。わずかに10年間で3倍に跳ね上がることになる。

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転機が訪れるのが、2008年。ドイツやフランスの銀行が積極的に投資していたスペインに対して投資資金を回収し始めたことで、住宅価格が徐々に下落し始める。2009年にはスペインの建設業者による工事が中止。今回コスタ・デル・ソルでゴーストタウン(下記の写真)を見ることができたが、これが全土に広がった。

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最悪なのは失業。2000年の初頭から10年間の間で労働者の10%は建設業に従事することになったが、その内訳は30%は非正規労働者であったことから一斉に解雇されることになる。若者も就職口が見つからなくなり、3人に2人が仕事に就かない状況にもなった。

こういった背景を添乗員から伺ったが、興味深いことにこのような観光地化が起きる前の当時のままの都市がここにも残っているらしい。コスタ・デル・ソルに滞在中に訪れたミハス(Mijas)だ。古代ギリシャ時代からローマ時代にかけて人が住んでいたことが知られており、白い村の観光地として知られている。

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この街には教会、闘牛、店を含め全てが白色で統一されており、美しい。日本語の表記も至る所で見られることから過去に日本人観光客も多数訪れたのだと思う。現在は中国人や韓国人の方が目立つが、日本人がなぜここを訪れたのか?わかるような気がする。

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いよいよ、明日からはスペインからモロッコに移動予定だ。船での初の国境越え。また6日間モロッコへの旅を終えるとスペインに戻ってくる形だが、モロッコ滞在は、本当に楽しみにしていたい。