2015年4月28日

【B#21】読書会への参加〜19世紀の世界史

日本に帰国した翌日(2015年4月15日)、野村謙次さん主催の「つながる読書会:Book club with sharemind」に参加した。

読書会には、大まかにいって、テーマの本を紹介し合う方法と、課題本が与えられ、それを読んできて感想を交換し合う方法がある。一番最初に参加したのも、つながる読書会でその時には、旅をテーマにしていた(【旅コラムVol.1】参照)。今回は19世紀の歴史がテーマ。参加したのは、主催者の野村さんを入れて4名。

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今回紹介のあった本は、下記の4冊。「英国メイドの世界」、「武士道」など興味深いものが並んでいるが、本コラムでは私が紹介した本について書きたい。

私は、世界一周の模様を旅コラムという形で合計140回(2015年4月21日現在)書いたが、その4割近く(57回、2015年4月21日現在)はヨーロッパについて書いている。その際、感じていたことは世界の近代史や地理の知識の必要性を感じたこと。ちょうどいいタイミングで読書会が開催されたということで、世界一周中に日本語の本をKindle storeから入手。何冊か手に取ってみた結果、本読書会には、日本に帰国後に、イギリスの中学校向けの教科書「帝国の衝撃」を入手、紹介することにした。

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この本を知ったのは、佐藤優氏の「世界史の極意」(NHK出版新書)。佐藤優氏は元外交官で、外交官の経験を活かした様々な本を書いている。この本はその中でも非常に面白い一冊だ。

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世界史を「資本主義」「ナショナリズム」「宗教」の3つの切り口から述べているが、歴史を学ぶ意味は、「過去に起きたことのアナロジー(類比)によって、現在を考えるセンスを養うということ」の大切さを説く。

歴史には、ドイツ語で「ゲシニテ(Geschichte)」と「ヒストリー(Historie)」という二つの概念があるという。前者は、歴史上の出来事の連鎖には必ず意味があるという立場で書いているのに対して、後者は、年代順に出来事を客観的に書いていくことをいう。

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日本の歴史の教科書は価値観を一切抜きにして事実を述べる形式をとっているので、ヒストリーといえる。

ゲシニテの例としては、イギリスの教科書「帝国の衝撃」(11歳〜14歳を対象とした歴史の教科書)を挙げている。

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アメリカへの植民から始まった植民地経営。その経営を断念する 「帝国の終焉」までの時代に絞った内容で構成され、なぜ、イギリス帝国の経営が破綻したのか?という「失敗の研究」から描かれている。インド、南アフリカや奴隷貿易などが扱われており、日本以上に歴史は自虐的になりそうだが、そうでもないところが興味深い。どちらかというと、未来を見つめながら、過去をどう見るのか?という観点だ。自分の弱さを認めた上で、どう、次世代への対応を考えるのか?というところが面白い。

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また、「帝国の衝撃」では、インドを含めた民族問題についても扱っている。「世界史の極意」によると民族問題を考える上で、オーストリア・ハプスブルグ帝国の中東欧とロシア帝国の歴史が参考になるという。

民族という概念は中東欧から生まれた。イギリス、スペイン、ポルトガル、フランス等は早期に統一された国家になったのに対して、中東欧は統一するのに時間がかかっためだ。ちなみにオーストリア帝国の場合には、ドイツ、マジャール(ハンガリー)、チェコ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、ウクライナなど様々な民族が同居していた。

もう一度読む山川世界現代史」という本は、事実に即して世界でどのようなことが起きたのか?を知る上で、好著だ。

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19世紀のオーストリア・ハンガリー帝国内での民族問題が第一次大戦の原因となったが、その骨は、民族構成比は、ドイツ人23.9%、マジャール人20.2%、 チェコ人12.6%、ポーランド人10.0%、ルテニア人7.9%、ルーマニア人6.3%、スロバキア人3.8%、クロアチア人5.3%、セルビア人 3.8%という割合を紹介している。

これだけの民族の割合が数字でもって示されていると、民族問題が起きても仕方がないと思う。

世界史の極意」では、3人の学者によって唱えられた民族の考え方について取り上げている。標準語や標準語で書かれた書籍や歴史が人為的に民族を作り上げるのに重要な役割を担っていることに言及。国家は社会の産業化とともに、教育制度を整え、領域内の言語も標準化する。こうした条件があったため、広範囲の人たちが文化的な同質性、すなわち民族の形成に大きな役割を果たしたそうだ。

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興味深かったのは、1800年〜1910年までの110年間、ヨーロッパの人口は、推定1億8700万人から4億5000万人に増加したということ。そのため、ヨーロッパから約5000万人が出国したのだそうだ。1870年から第一次大戦までの40年間で、イギリス(帝国領内の諸地域も含む)から880万人、ドイツ277万人、オーストリア・ ハンガリー帝国361万人、フランス29万人、スペイン355万人、イタリア635万人、ロシア174万人が国外へ移動。やはり、こういった人口増の条件があったからこそ、19世紀はヨーロッパの世紀といえるのかもしれない。

このように世界史というのは、少し知るだけでも世界について学ぶことができる。これからも、世界を理解するためには歴史に立ち返って考えていきたい。