【R#103】ヨーロッパのロルファーとしての認定までの歩みについて〜ヨーロッパ・ロルフィング協会・認定トレーニング

2013年12月にロルフィングに出会い、2014年8月〜2016年12月までにミュンヘンの基礎トレーニングを受講。2015年3月にロルファー認定を受けた。
よく、トレーニングについて聞かれることが多いので、せっかくの機会。Phase I〜Phase IV(Supervision Workshop)まで、本コラムで書いてきた内容を中心にまとめてみた。

2013年12月23日にリリーフ・スペースの伊藤彰典さんと偶然出会ったところから大きく動き出し(「出会い〜ヨガのポーズを深めるため、様々な方法を試す中で発見した」)、その場で10回シリーズを申し込む。その過程で(「セッションを受け終えて」)、ロルファーになることを決意。
準備を経て(「Trainingへ向けての準備」)、2015年8月4日、ミュンヘンでPhase Iが始まった(「手放すこと」と初日」)。

2014年8月22日に3週間のトレーニングが終了(「3週目と最終評価」)。
最終面談に無事合格。
2014年10月6日のPhase IIが始めるまで、時間があったので、アジアとトルコを中心に旅をした。


Phase IIは、8週間に渡った(2014年10月6日〜11月26日)(「トレーニングの再スタート」)。
今回8週、33日間、イギリス在住のイタリア人Giovanni Felicioni先生に学んだ。
Giovanniについては、フランクフルト在住のロルファー、鎌田孝美さんのコラムが詳しい(「ヨーロッパロルフィング Giovanni Felicioniという人」)。
Giovanni and Patricia
本コラムでは、
トレーニングがどのように進み、住まいはどういった環境だったのか?(「授業の進み方(1)」「トレーニング風景」「授業の進め方(2)」)
米国・ボルダーとドイツ・ミュンヘンのトレーニングの違い(「土台と感覚」)
ロルフィングの基本的な考え方
1)2方向性(「基本的な考え方〜2方向性(palintonicity)」)
2)Embodiment(「身体感覚〜Embodimentとは何か?」)
3)Articulation (「力を抜くこと(2)〜空間を意識することの大切さ」)
4)Hubert GodardのTonic Function(「身体と心(2)〜Tonic Function(1)」「身体と心(3)〜Tonic Function(2)」)
5)Stephen PorgesのPolyvagal Theory(ポリヴァーガル理論)(「身体と心(4)〜ポリヴェーガル理論(1)」「身体と心(5)〜ポリヴェーガル理論(2)」)
6)Peter LevineのSomatic Experiencing(トラウマと身体)(「身体と心(1)〜深層とトラウマ」)
7)身体地図(Body ImageとBody Schemaの違い)(「身体地図と幻肢」)
を取り上げた。
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身体を絵画に例えて、
ルネサンス時代から印象派の画家たちが人間の身体をどのように見ていたのか?
Giovanni先生がRolf Movementの開発者、Hubert Godard氏の考え方に触れながら説明したのは大きな気づきで、アートに詳しいGiovanni先生ならではのものだった「絵画史と身体(1)〜西洋絵画史からみる身体の見方」「絵画史と身体(2)〜絵画史から顔と頭をどのようにみるのか?」)。

最終週にはロルファー1人に対して2人のクライアントを呼んでセッションを行った(「クライアント・セッション」)。この経験がのちにPhase IIIでクライアントを担当する際に役立つ。
Phase IIでは、中間面談(「中間面談〜どのようにフィードバックされたのか?」 )と最終面談(「最終面談」)の個別面談が実施されたが、生徒の進捗状況、どこを伸ばしていったらいいのか?を知る上で役立った。

Phase IIとPhase IIIの間に宿題がある。それは、Mid term paper(ロルフィングとは?を含めたエッセイ)を提出すること、もう一つは2回にわたってアドバンス・ロルファーからメンタリング・セッションを受けること。
2015年2月2日のPhase IIIトレーニングは始まる前に南米、北米に旅する予定だったので、ロンドンでKeith Graham(「英国での体験(1)」)、Alan Richardson(「英国での体験(2)」)のそれぞれのメンタリング・セッションを受けた。
Mid term paperは、南米旅行中に提出(「Mid term paperと高山病〜南米の旅の途中で宿題を終える」)受理された(「開始前とMidterm paperの受理」)。
2015年2月2日〜2015年3月25日に最後のPhase IIIトレーニングが始まった(「イントロと知識の整理」(先生は、理学療養士のJörg Ahrend-Löns先生とアシスタントのAndrea Clusen先生))。
ロルファー1名に対して、2人のクライアントを担当。8週間にわたって10回セッションを行った。
同時に2人の先生の受け持つクライアントのデモ・セッションをみることもできた。
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Phase IIで学んだ技術をクライアントに伝える際に、
「どう情報を絞り込んでいったらいいのか?」
今まで各回で学んだ知識の優先順位のつけ方をフレームワークで提示(「Body Readingと情報の寡多」)。
Phase IIIのJörgを通じて
Less is more(最小限の施術を)や直感の重要性について(「手技を超えて」)学ぶことができた。
Phase III期間中に配布された論文の中で、見ることと知覚することの違い、アイダ・ロルフの教えをJeff Maitlandが理論化したSaturation methodは、すごく参考になった(「Seeingと知覚すること(1)」)。
興味深かったのは、セッション3(「Case Presentation(1)〜セッション3を終えて」)とセッション7(「Case Presentation(2)〜セッション7を終えて」))が終えた段階で1人5分クラスの前で行う症例プレゼンテーションのところ。
ここで、他の人たちがどのように施術を行っているのか?考えを聞くことで、自分の施術のやり方に広がりを持たせることができた。
Phase IIIは、Phase IIに比べると新しいことを学ぶという印象がなかったが、
1)不安になった時どうするのか?(「見失うこと」)
2)クライアントとのつながりが断ち切れた時にどうするのか?(「見失うこと」)
3)不測の事態に陥ったときにどうしたらいいのか?(「身体地図と幻肢」)
等について学ぶ場でもあった。
Phase IIとPhase IIIの先生の教え方や伝え方の違いは「個性と教育」にまとめたが、違う先生をカルキュラムに入れることで、多様な考え方を身につけることができて、本当に良かった。
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中間面談「中間面談」)、最終面談(「最終面談とロルファーとしての認定」)を経て、無事認定ロルファーとなった。
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ERAのトレーニングは、1年後にSupervision Workshop(Phase IV)を受けることが必須。Phase IIIとPhase IVとの間に、Phase IIとPhase IIIの時と同じように、3回にわたってアドバンス・ロルファーからメンタリング・セッションを受けることが求められる。
そこで、2016年8月29日〜2016年9月4日の間に、ロンドンでは、Keith Graham先生を(「英国での経験(3)」)、パリでは、Hubert Godard先生(「フランスでの体験:基礎を大事にすること」参照)のそれぞれのメンタリング・セッションを受けた後、2016年12月12日、ライプツィヒでKathrin Grobelnik先生(「ドイツでの体験〜Kathrin Grobelnik」参照)のを受けることができた。
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1年半後(2016年12月13日〜18日)、Pierpaola Volpones先生の6日間のPhase IVへ。
Paolaは強烈に個性的な人の多いロルファーの中でもバランスが取れた人であり、ロルフィングの定義を基本に照らして天才たちがまとめたテクニックを分かりやすく伝えるので、手技の整理につながった(「初日と復習」)。
Phase IVでは、1名のクライアントを2回施術することが求められた(「3日目まで:Paolaの話」)
興味深かったのは、PaolaがTeachとEducateの違いを説明していたこと。Teachというのは手順一つ一つ伝えて、生徒に手技を覚えさせること。一方でEducateというのは、生徒の良さを引き出す(Eduは引き出すという意味)ために、どうしたらいいのか?生徒に考えさせること。Paolaの教え方は、どちらかというと後者に感じた(「最終日」)
駆け足で、ERAで必要な認定ロルファーでのトレーニングについてまとめた。
ERAでは、Rolf Movement Practitionerの認定も行っており、同トレーニングを受講し、2019年12月1日に認定を受けた。
ヨーロッパのRolf Movement Practitionerまでの歩みについて〜認定までの道のり」に書いたので、ご参考になればと思う。