2015年7月11日

【P#17】医薬品の開発(5)〜オーファン医薬品

医薬品において注目されいるのが、オーファン医薬品(オーファンドラッグ)。私は、世界一周する前に所属した製薬会社で、このオーファン医薬品についての新発売に向けての準備と開発部へサポートを行っていたので、感慨深いものがある。このオーファン医薬品は、【製薬コラムVol.4】で触れたバイ・ドール法と共に製薬会社が活気づくきっかけとなった。

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バイ・ドール法がきっかけとなり、米国国立衛生研究所(NIH(National Institute of Health))から得た助成金で行った研究成果の特許はすべて政府に帰属していたが、この法律によって大学やベンチャーなどが特許をとることが出来るようになった。同時期にオーファン医薬品の仕組みが整えられていった。

FDA

オーファン医薬品(Orphan drug:OD)とは、日本人で対象患者数が50,000例未満の疾患に用いられる医薬品のことをいう。Orphanとは、孤児(両親のいない子供)から派生した言葉で日本語では、希少疾病用医薬品とも呼ばれている。

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医療上、特に優れた使用価値をもった物でその開発が必要であるとして、厚生労働大臣が指定した医薬品のこといい、薬事法で定められている。オーファンドラッグに選定されることを英語で、Orphan Drug designation(ODD)と呼ぶ。

バイ・ドール法の制定から3年後の1983年、アメリカで200,000人未満、あるいは発症率が5人/10,000人の疾患が対象となり開始された。法整備などが進んだ結果、1983年以前は10品目程度だったのが、その後2004年までに249の品目がODとして承認されるようになった。

特許の帰属が国から発明した側になったこと。低予算で開発できるようになったことから、大学発のベンチャーが飛躍するきっかけになった。

日本では1985年に「稀用医薬品の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料について」の通知,「特定疾患治療研究事業」及び「新薬開発推進事業」を設置してオーファン医薬品の促進を図ろうとしたがアメリカに比べ制度が不十分だったため、なかなか進まなかった。希少疾病用医薬品の研究開発促進を目的とした薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の改正が1993年4月21日に制定され、ようやく1994年以降研究開発が進むようになってきた。

対象患者が少ないため、研究開発が進まない恐れがあることからさまざまな優遇措置がとられている。開発に必要な資金の助成(開発費の2分の1まで)、優先審査の実施(他の薬品に優先して)、薬価上の優遇(画期性加算、市場性加算の対象となる)、再審査期間の延長(6~10年:市場独占権を得ることを意味する)、税制上の優遇措置などが図られている。 なおODDを得ると、米国では8年、ヨーロッパでは10年の市場に対する排他権(Market exclusivity)を得ることが出来る。

【製薬コラムVol.4】で触れたが、製薬会社が(日本側の審査当局の)PMDAに対し、通常の医薬品として審査を加速するために相談費用が支払われるが、オーファン医薬品の場合には安い費用で済む。審査期間も短く、私が携わった医薬品の審査期間はわずか9ヶ月だった。

次に医薬品の特許について述べたい。