2015年7月17日

【P#22】医薬品の開発(10)〜保険の仕組み(2)

前回、日本では主に出来高払い方式をとっている。そのことについて、【製薬コラムVol.11】で触れたが、これは、薬が多く処方された方が、病院が儲かるという仕組みになるといってもいい。そのため、医療費のコントロールがむずかしくなり医療費の高騰を招いている一つの要因と考えられている。

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そこで日本でもコストの削減を目指すため、疾患に対して定額に医療費を支払うという包括払い方式を採用し始めた。この診療別包括払い方式について歴史的な経緯から説明していきたい。

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米国では、医療費高騰などによる環境の変化から、病院における経営の改善を可能にするための指標の開発が急務となった。そこでYale大学においてDiagnosis-related group(DRG)が開発された。これは、患者を病名(Diagnosis)と提供されたサービスの種類(Procedure)の組み合わせによって分け、500程度のグループに整理、分類する方法である。DRGは、急性期入院医療の患者や新生児、小児などが対象である。一方で、PPS(Prospective Payment System)とは、包括払い方式のことで、検査料、投薬料、入院コストなどが一定水準内に定められている(診療別包括払い方式と出来高払い方式)との違いについては、【製薬コラムVol.11】参照)。このうち、DRGに基づいて医療費を設定されたものをDRG/PPSと呼ぶ。この実例としてアメリカの高齢者医療制度(メディケア、Medicare)があげられる。Medicareは、1983年に入院医療費に対してDRG/PPSが導入された。その包括払いの対象は、入院費用についてのみで、医師への支払いについては診療報酬基準で定められた出来高払いで支払われている。

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日本でも1998年からDRG/PPSが試験的に導入され、主に急性期入院患者を対象とされ「急性期入院医療の定額払い方式の試行事業」と呼ばれた。疾患は270に分類され、183分類に基礎償還点数を38,803点(1点=10円)とする1件あたりの定額払いを適用した。診断群分類となっている体系は国際疾病分類(ICD:International Classification of Diseases)でWHOによって作成されている。さまざまな国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病データの体系的な記録、分析、解釈及び比較のために作られた。日本では独自の調査でまとめられた診断群を分類しているが、現在、疾患の分類を270分類から532分類に拡大(定額報酬は267分類)、そして基礎償還点数を40,476点とするなど見直しが行われている。

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この考え方を踏襲して生まれたのがDPC(Diagnosis Procedure Combination)である。DPCは、データ収集対象病院における前年度の調査期間の入院実績に基づいて、分類と点数が決められている。そして、入院1日あたり包括評価が適用された。DPCにおける診療報酬額は、包括評価部分と出来高評価部分の二つに分けることが出来る。出来高部分としては、手術料、麻酔料、1000点以上の処置料など医師への支払いが算出される。包括評価部分は、入院基礎料や検査(内視鏡検査、病理検査などを除く)、投薬、注射、1000点未満の処置などが含まれ、診断分類ごとに1日あたりの点数×医療機関係数×入院日数が支払われる。

DPC対象病院は決められており、2003年からDPCを実施している全国82の特定機能病院、2005年までにDPC試行的適用病院と呼ばれる社会保険病院、民間病院などの62施設、2005年度までに7月から10月の4ヶ月間のデータを提供してきた調査協力病院228病院のうちDPC払いを希望した216施設があるという。

以上簡単ではあるが、日本の診療別包括払い方式について書いた。次に当局との審査、医薬品で重要な添付文書について取り上げたい。