2015年8月6日

【P#25】医療従事者向けの資材

今まで医薬品の開発について述べてきた。前回は、審査の模様について紹介した(【製薬コラムVol.14】参照)。今回は添付文書を含めた資材について取り上げたい。医薬品を販売・情報を伝達するにあたって製薬会社は必要最小限の資材の作成が必要だ。

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医薬品の開発が最終段階になり、承認・発売へと進むと医療従事者向けの資材を作成する。製薬会社は大抵、医療系を専門とする広告代理店とコラボして資材の作成に当たることになる。最終成果物は、PMDAのホームページ(http://www.info.pmda.go.jp)から入手が可能だ。

pmda

以下簡単に資材を紹介したい。

1)医療用医薬品添付文書(添付文書)

医薬品の基礎情報。薬事法第五十二条により法的根拠を持つ唯一のもの。ただし、添付文書は要約情報のためこれを補うためにさまざまな情報文書が作られている。申請の際にはドラフトを提出。当局との話し合いを通じて完成させていく。なお、そのやりとり及び添付文書の根拠についてはCTD最終版と審査報告書の議事録(PMDAのホームページから入手可能)に記載されている。製薬会社では薬事部が中心になって作成する(CTDについては、【製薬コラムVol.14】参照)。

2)医薬品・製品情報概要(医師向け)

個々の医療用医薬品に関する正確かつ総合的な情報を医療関係者に伝達し、その製品の適正な使用を図ることを目的として作成される印刷物をさす。医師を対象としていて、図表や写真が多く記載されている。この記載方法については、すべて決まっている。製薬会社ではマーケティング本部が中心になって作成する。

3)医薬品インタビュー・フォーム(薬剤師向け)

製品情報概要は医師向けなのに対して、日本病院薬剤師会からの依頼によって作成されるのがインタビュー・フォーム。薬剤師向けであり、化合物や製剤の物性や安定性の情報、有効性や安全性の根拠となった情報、薬物動態や非臨床試験などの情報が含まれている。当局とのやりとりを通じて完成させたCTDをベースに作成する。製薬会社ではマーケティング本部が中心になって作成する。

4)新医薬品の使用上の注意の解説

添付文書の安全性情報をより詳しく述べたもの。添付文書の禁忌、使用上の注意をより詳細に述べている。製薬会社では安全性情報を収集する安全性調査部が中心になって作成する。

5)緊急安全性情報(ドクター・レター)

重要で緊急を要する安全情報であると厚生労働省が判断した場合、厚生労働省の指示のもと4週間以内に製薬企業がまとめて医療関係者に情報を提供する情報。

6)適正使用ガイド(安全性にたいして懸念のある医薬品の場合に作成)

添付文書の安全性情報をより詳しく述べたもの。当局に求められた際に作成。特に重篤(重症)な副作用が認められる薬剤の場合には、重篤な副作用を中心に記載。2014年、私は安全性に対して懸念医薬品の承認前には、当局から確認が求められ、何度も修正を加えた。主にマーケティング本部が中心となって作成する。

これらの資材を元に、製薬会社の医薬情報担当者(MR(Medical Representative))は、科学的データに基づく、正確で公正な情報を医療関係者に伝える(【製薬コラムVol.9】参照)。一方で、医療関係者からは、医薬品を使用した後の効果や副作用などに関するさまざまな情報を収集する。医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の方法に関する基準(GVP:Good Vigilance Practice)には以下のような記載がある。

MRとは、医薬品の適正な使用を資するために、医療関係者を訪問することなどにより安全管理情報を収集し、提供することを主な業務として行う者をいう。

このようにMRの役割は医療関係者に対しては大きく分けて情報の伝達と収集がある。このことで、MRを通じて医薬品の正しい使用法が医療関係者に伝わり、正しく理解された上で処方される。

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収集された情報は、製薬企業に持ち込まれ、分析、評価した上で再び医療関係者に情報として提供される。このようなフィードバックが働いている。

次回は、添付文書及び安全性についてもう少し掘り下げて紹介したい。