2017年1月23日

【E#146】自分軸とは?(3)〜謎の空白期間をどう過ごすか〜回り道と人生

立花隆さんの本は何冊か読んでいるが、私が印象に残った一冊は、20代に出会った「青春漂流」という一冊だ。

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11人の若者たちにインタビューを通じて、どのように人生を模索していったらいいのか?を考えされられる一冊でもある。

著書のあとがき(エピローグ)に空海と「謎の空白期間」という話が出てくる。

多少長いが引用したい。

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「四国讃岐 出身の空海は、18歳のときに京に出て大学に入った。大学というのは、貴族階級の子弟の教育機関で、古代のエリート教育機関である。 

しかし空海は、せっかく大学に入ったのに、ほどなくしてドロップアウトしてしまう。そして、乞食同然の私度僧(自分勝手に頭を丸めて坊主になること)となって、四国の山奥に入り山岳修行者となる。 

これ以後、31歳の年に遣唐使船に乗り込むまで、空海がどこで何をしていたのかは明らかではない。 

「謎の空白時代」といわれる。山野をめぐり、寺院をめぐり、修行に修行をつづけたと推定されるだけである。それがいかなる修行であったかは明らかでない。 

彼が遣唐使船に乗り込むにいたった経緯もまた明らかではない。ただ一つはっきりしていることは、彼がその直前まで私度僧であったことである。空海は留学僧として遣唐使船に乗り込んだ。しかし、留学僧になれるのは、正式に出家した僧だけである。そこで空海は、遣唐使船に乗り込むほんの一カ月ほど前に、あわてて東大寺で正式の出家を果すのである。その記録が東大寺に残っている。 

遣唐使船に乗り込んだ空海は一介の無名の留学僧にすぎなかった。彼に注目する者は誰もいなかった。 

しかし、唐の地に入るや、空海はたちまち頭角をあらわす。十年余にわたる彼の修行時代の蓄積が一挙に吐き出されて、唐人から最高の知識人として遇されるにいたるのである。密教の権威、恵果阿闍梨をして、門弟の中国人僧すべてをさしおいて、外国人たる空海 に、密教の全てを伝授しようと決意させるほど、空海に対する評価は高かった。 

「謎の空白時代」に、彼がどこで何を修行していたかは明らかでない。しかし、その修行がもたらしたものは、歴史にはっきりと刻印されている」

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私にも空白期間がある。

1998年から2002年の5年間。

全く何も手がつかず、主体性を発揮して生きるというよりも、受動的で、自分の意思とは関係なくただ単にロボットのように動いているような状態だった。

大学院生の博士課程から博士研究員の1年目に当たる5年間で、年齢も28歳〜32歳。主体性がもっとも発揮されるべき研究室で、全くこの先どうしていったらいいのか?悩み、もがくことになる(この期間に博士号が取れたのは本当に奇跡ではないかと自分では思う)。

答えが自分の中にあるということをわかっていながら、いろいろな人と出会い、数え切れないほどの本を読んだ。

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親や友人が頼りにならない。自分で解決しなければならないということをわかっておきながら、今から考えると、答えを外に求めるぐらい余裕がなかった。

2002年に転機が訪れる。

「研究室で成果が出なかったら、研究の世界から離れよう」

という自分で決断。前に進むようになったからだ。

今振り返ると、5年間、一見無駄と思える時間を自分と向き合ってきたから、このような決断に至ったと確信している。

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2003年に成果が上がらず、研究の世界から足を洗う。2003年縁があって、社会人として民間企業に就職。

社会人の4年間を経て、製薬会社に移ったころに

「今までのことはなんだったのか?」

振り返る余裕が出てきた。そして、自分が5年間経験したことをどのようにして、人に伝えたらいいのか?模索するようになった。

そこで・・・

2008年〜2009年、NLPやコーチングのスキルの勉強を始め、自分という一人の人間はどういった軸を大切にしているのか、を言語化するようになる。

実際に、当時のテキストの中のノートを覗くと、

1)セルフ・イメージを上げること

2)自分の生きていく上での使命を明確にすること

3)自分の表現法の確立

の3つを課題にNLPやコーチングという視点で、何か学べないか?ということが書かれていることに気づく。

興味深いのはコーチングの学びの延長上にロルフィング・セッションの提供があるので、全ては繋がっている。そう考えると、空白の5年間は意味があったということに今さながら気づかされる。

謎の空白期間は5年間に及んだ。すぐに結果を追い求め、数カ月以内にインスタントに成果を出すというのが善だという考えを持っている人には違和感として映ることが容易に想像できる。

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そうはいっても・・・

あの天才の空海でも10年近くそういった期間があり、それが人格形成に大きな影響を及ぼしている。そして、私が今まで出会った人たちは、効率よく生きるというよりも、寄り道をして、もがき苦しみながら、それでも自分と向き合い、一歩一歩前に進むような人たちだったように感じる。

イチローさんが元野球選手の稲葉さんとの対談(上記のYoutube動画)で、下記のような言葉でうまく表現していると思うので、引用したい(以下敬称略)。

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イチロー「(野球がうまくなるコツの)情報が多すぎてどれをピックアップしていいかという問題があります。」

稲葉「まぁ今そういう時代で知識がありすぎる」

イチロー「頭でっかちになる傾向があるでしょうね」

稲葉「でも、最短でいける(うまくなる)可能性もあるじゃない」

イチロー「無理だと思います」

イチロー「失敗しないで、まったくミスなくそこにたどり着いたとしても深みは出ない。単純に野球選手としていいものになる可能性は僕はないと思います。」

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これからも、ロルフィングや自分軸セミナーで、

「自分と向き合う大切さ」

「世の中には効率よくできることととそうでないものがあるということ」

そして

回り道というのは善であるということを伝えることができればと思っている。