2017年10月13日

【B#69】才能と選択の違いを知ること〜直感や感性の重要性について

Amazonの創業者、Jeff Bezos(以下ベソス)は、母校のプリンストン大学の2014年の卒業式にてスピーチを行っている(日本語字幕付きの動画は下記参照、文字起こしは「才能と選択の違いを知ること」参照)。

興味深かったのは、ある夏に起きた事件についてのエピソードについて取り上げられたところだった。

ベソスが若かった頃、祖父母と一緒に旅をしていた頃、道中に祖母の喫煙が我慢にならなかった。喫煙が健康に及ぼす影響について、独自に計算。

祖母に

「おばあちゃん!たばこを一口吸うごとに2分寿命が縮まるんだ!つまりおばあちゃんの寿命は9年も縮まっていることになるんだよ!」

と伝えたのだ。

ベソスは、祖母に賢さと計算のスキルについて褒められることを期待して言ったのだが、泣き崩れるという予想外の反応となったという。

「ジェフ、いつかわかる日が来ると思うが、賢くなるよりも優しくなるほうがはるかに難しいことなのだよ」

と祖父から直後に諭されることで、「才能」と「選択」の違いについて知ることになる。

ベソスは、

「賢くなる」=「才能」

「優しさ」=「選択」

と説明。

才能は生まれ持ったものであるがため、努力を必要とせず、もっと生まれたもの。才能に溺れると、うまい「選択」ができなくなってしまう。

それを踏まえた上で、

才能と選択について

「皆さんは恵まれた自分だけの才能をどのように使いますか? 才能があることを誇りに思うでしょうか? それとも自分で選択し、自分で選んだ道を誇りに思うでしょうか?」

という形で学生たちに問題提起をしていった。

私は40代の半ば、製薬企業を辞職(「決断と今後」参照)。

1年間世界一周の旅、ロルフィングの資格勉強を経て、ロルファーとして渋谷駅前に開業。ロルファーとして認定されてから2年半、開業してから2年4ヶ月が過ぎた。

「「選択」して自分で物事を選んでいくには、どうしたらいいのだろうか?」

ロルフィングを通じて、クライアントの身体感覚が呼び起こされることで「直感」や「感性」が目覚め、自分で自分の人生を「選択」できるようになってくる人たちを目の当たりにしてきた(「なぜ、身体を整えると自分で判断することができるのか?〜身体を通じた潜在意識の書き換えとその意味」参照)。

「身体感覚」を鍛えることで「直感力」や「選択」がどう変化するのか?その点に関して、考えるヒントとなった2冊を紹介したい。

1冊目は、将棋の羽生善治棋士(以下羽生さん)の「決断力」。

「直感力」を

「それまでにいろいろ経験し、培ったことが脳の無意識の領域に詰まっており、それが浮かび上がってくるものだ。全く偶然に、何もないところからパッと思い浮かぶものではない。たくさんの対局をし、「いい結果だった」「悪い結果だった」などの経験の積み重ねの中で「こういうケースの場合にはこう対応したほうがいい」という無意識の流れに沿って浮かび上がってくるものだと思っている」

という形で説明。

「全体を判断する目とは、大局観である。一つの場面で、今はどういう状況で、これから先どうしたらいいのか、そういう状況判断ができる力だ。本質を見抜く力といってもいい。

その思考の基盤になるのが、勘、つまり直感力だ。直感力の元となるのは感性である。

例えば、数学は緻密なロジックによって構成された論理的な学問だと思われている。だが、数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞した小平邦彦先生は、数学は高度に感覚的な学問であるといい、それを「数覚」と名付けている。中学校の幾何学で、図形の問題は、まず補助線が閃かないと解くのが難しいが、将棋も、この補助線のような閃きを得ることができるかどうかが、強さの決め手になる」

という事例を挙げて、羽生さんは「直感力」の重要性を「大局観」から説明している。

感性について、読書や音楽を聴いたり、将棋界の人と会ったりと、様々な刺激によって総合的に研ぎ澄まされていくと、羽生さんは述べている。

「感性」については、2冊目の料理教室を主宰している辰巳芳子さん(辰巳さん)の著書「いのちと味覚」の方がわかりやすいと感じたので、その考えを紹介したい。

辰巳さんによると、人生の「生きていきやすく」「生きていきにくい」を分けるものとして「感応力」を紹介。「感じる」とを以下のように区別している。

「感じる」=「感覚器官の刺激を通じて情報を得ること」

「感応する」=「外界からの刺激によって心が深く感じ動くこと」

そして、

「感じる」=「見ただけ、聴いただけ、で終わる」

「感応する」=「感じて応える」ことを積み重ねる

の二つでは、いのちのあり方が全く異なってくるというのだ。

「感応」するためには

「五感」=見る、聞く、触る、嗅ぐ、味わう

という感覚が必要で、経験となって最終的に「直感力」につながる。

なぜ、「直感力」が大事かというと、困難や危機、必要に応じて対応策を瞬時に引き出す力となるからだという。

「料理をするよさの一つに、感応力が磨かれることがあるのです。本当だろうか?といぶかる人もいらっしゃるかもしれません。でも「手の内の自然(手の内に自然を扱うこと)」、つまり季節の恵みである食材を真剣に向き合い続けるうちに、自然と感応力が磨かれていきます。そうすると、いざという時にどうしたらいいかがわかる」

と同書に書かれているが、感応力は「感じたこと」を「応える」ことであるから、どうしても手足を使った体験が必要となる。

ロルフィングもある意味では、全身の身体を整えることで、五感を研ぎ澄ませ、体験という形で自分の状態を知るための手助けをしてくれるといえる、そしてそれが直感と選択の感度の高さへとつながるのではないかと思う。