2018年1月14日

【B#87】「からだは星からできている」(1)〜死生観と宇宙

2018年1月12日、第2回目の読書会を開催。2017年12月22日にクローズドな形で読書会を行って以来、2回目となる(「2017年末を迎えて(1)〜読書会の開催:価値観の似た仲間との出会いの場」参照)。

今回の課題図書は、佐治晴夫さん(以下佐治さん)の「からだは星からできている」だ。

本書に出会うきっかけは、岡野守也さん(以下岡野さん)の「コスモロジーの心理学〜コスモス・セラピーの思想と実践」(「コスモロジーの心理学(1)〜なぜ宇宙の歴史を知る必要があるのか?」「コスモロジーの心理学(2)〜究極の自信とは何か?」参照)。

現代の人たちは

「自分が一番大事だ」

と思っているが、一方で「死んだら無になる」と考える人が多いという。

結果、自信を持ちたいと思っていても、肝心な自分はやがて無になってしまうため、

「どのように自信を持っていいのか?」

わからなくなる。

結局、

「死んだらどのようになる」=「死生観」

という考え方をどう持つのか?

が自信を持つ秘訣の1つだという。

岡野さんは、

日本人は過去に確立した死生観を持っていたことについて以下のように述べている。

「百年余り前(明治維新以前)は、国民の大半が「死んだら祖霊になる」とか「死んだら、生前の行為の善悪によって地獄か極楽へいく」と強く信じており、「家や村や国・藩のために尽くすということが一番大事であり、自分のことしか考えられない人間など、ろくな人間ではない」と建前ではほとんど全員が考えていたと推測されます。

つまり、かつての日本人は、祖霊や天地自然や神仏を信じており、家や村や国の価値を信じていました。しかもそれらは、ある種絶対であり、永遠であるような存在と信じられていたのです。そして、信仰・信念を強く持っていた人は、精神的にとても強かったようです」

しかし、明治維新から第二次世界大戦を経て、欧米的・近代的な理性・科学が社会に浸透。

そして

「全てには絶対的な意味がない」「善悪の絶対の基準がない」=「ニヒリズム」

「自分の気持ちの良い悪い、好き嫌い、快不快を追求して生きるしかないという考え」=「快楽主義」

「生きていることに意味がない。だから自分の好き勝手なことをして、死刑にされても良い」=「エゴイズム」

という新しい「死生観」が生まれて、「うつ」などの心身を病むか自殺願望の人が増えていくきっかけとなっていく。

岡野さんは、死生観を「コスモロジーの心理学(1)〜なぜ宇宙の歴史を知る必要があるのか?」に書いたように、宇宙の137億年の歴史を知ることで、自ずと身につけることができると書いている。

岡野さんの「死生観」の考えは、宇宙物理学者の佐治さんの影響を受けている。

そこで「死生観」を深めることができればと思い、佐治さんの近著「からだは星からできている」を手にとってみた。

読書会の内容は次回に取り上げることにして、今回は本の内容について紹介したい。

内容は宇宙の話だが、

「人間をどのようにして理解したら良いのか?」という観点が興味深い。

例えば、

「胃液だって1週間ぐらいで半分くらい入れ換わっているようですし、細胞も目まぐるしく生成消滅を繰り返しています。傷ついた皮膚も治癒してしまえば、元どおりになったと思いがちですが、体を作っている成分や組織は新しく生まれ変わっています。ということは、怪我をした時点での自分と治癒した後の自分は違うはずです。決して、「同じ自分であり続ける」ことはできないということです。同じだと思っているのは、脳の中で蓄えている幻想に過ぎません

と人間というのは「昨日の自分」と「今日の自分」が違っていることを紹介。

その上で、

「なぜ、自分であり続けたい」

と思うのか?

それは、

人間には「死への恐怖」があるからだ

とわかりやすく答えている。

本書をさらに引用したい。

「自分であり続けたい。それが途切れることが、「死」という瞬間です。「生」の反対は「死んだ後」、「死後」ということであって「生きている」という状態と「死んだ後」という2つの世界を分け隔てる分岐点が「死」ということなのでしょう。そのような意味からすれば、「死」とは、人生の中にある1つの通過地点だといっても良さそうですね」

と明確に「死ぬ」ことを言語化していく。

さらに、面白いのは、

「生きる」ことに関しては、心臓の鼓動や食事の消化を自分で止めることができないことから、

何らかの力=「自分以外の何かの力」

が働いている、いわば、

「何かに生かされている存在」

であると見ていることや

「人間というのは自分自身の顔を、直接、自分で見ることができない」

という観点から、宇宙の研究についても言及していることだ。

例を挙げると、

鏡や写真を通じて自分という顔を見ることができる以外に、自分が育った土地や学校、職場を含めての「環境」のなかで「自分」を位置付けることによって、自分を知ることができるという。

佐治さんは、そのもっとも大きな「環境」というのが「宇宙」であるから、宇宙を知ることで、人間というものがわかることになる。それが「コスモロジーの心理学(1)〜なぜ宇宙の歴史を知る必要があるのか?」で書いたように137億年の宇宙の歴史と共に考えていくと、

「私たちの体を構成している全ての物質は、星が光り輝く過程で作られ、その星が超新星爆発という形で、終焉を迎え、宇宙空間に飛び散った、その「かけら」です。つまり私たちは、「星のかけら」なのですが、その「かけら」から作られた「かたち」にも、宇宙の性質が投影されているということなのです」

という考えに繋がっている。

次に、読書会の内容について紹介したい。