2018年3月24日

【RM#27】Rolf Movement – ロルファー向けのセミナーを開催(3)〜カルキュラムとTonic Function

ロルファー仲間から、今まで学んできたことをシェアしてほしいということで、2018年2月24日と3月19日の2回にわたって、ロルファーやボディワーカー向けにセミナーを開催した。

ロルフィング及びムーブメントの歴史や基礎となるロルフィングの考えについて、今まで学んだワークショップを含め、自分の知っていることをシェアし、本コラムでも過去に以下のような形で2回に渡って紹介してきた。

1回目:「Ida Rolfの生きた時代

2回目:「MovementとAwareness

最終回の3回目は、ロルフィング・トレーニングのカルキュラムについて書きたい。

1971年にボルダーで米国ロルフィング協会(以下RISI)が発足したのだが、Ida RolfがRolfingを教え始めた当初から、カルキュラムを2つの段階にわけて考えていたそうだ。

Auditing(観察者(知覚する)の段階、Phase 1)

Practitioner(施術者(施術経験)の段階、Phase 2)

だ(詳細は「Seeingと知覚すること(1)」参照)。

Auditingは、

「どのように観察するのか?」

を教える段階で、施術することを一切しない。

これは、

「Rolfingについて何を観察するのが大事なのか?」

を身につけるまで続き、準備ができたらPractitionerの段階へと移る。

1979年にIda Rolf(ロルフィングの創始者)がなくなった後も、組織として存続するが、1989年にGuild for Structural Integration(以下Guild)とRISIに分裂する。

Guildとの差別化の必要性もあったとロルファーのSharon Wheelerから聞いたのだが、事実かどうかは別として、RISIの方はカルキュラムの見直しが行われた。

Guildの方は、Idaの教えを忠実に守っているのに対して、RISIやロルフィング協会が提供しているカルキュラムは、Idaが亡くなった後、最新情報が授業に入るようになる。ドイツのUlmで研究している筋膜の第一人者のRobert Schleipの知識など。

そして、下記のようにドイツで行われているような3段階のカルキュラムになった(「トレーニングの振り返り」参照)。

Phase 1:Foundation of Rolfing(ロルフィングの基礎)(身体の動き(Movement)、解剖学(Anatomy)、施術をどのように行うのか(Touch))

Phase 2:Embodiment of Rolfing Process(ロルフィングのプロセスを身体内に取り入れる)

Phase 3:Practical Application – Working with clients(臨床的な応用、クライアントに対して施術を行う)

1990年代には、身体に心理的な要素が理論として入ってくる。例えば、Hubert GodardのTonic FunctionやPeter LevineのSomatic Experiencingの考え等。

これは、Rolf Movementのカルキュラムに大きな影響を与えることになり、どのように身体を意識してMovementを行ったらいいのか?明確になっていく。

ロルフィングとRolf Movementのトレーニングを受けていて、もっともわかりにくいのが

1)ボディイメージとボディスキーマの違い

2)Tonic Function

3)Pre-movement

だと思う。

そこで、この3つについて、本セミナーでは私が理解できる範囲の知識を紹介した。

人間はなぜ身体は姿勢をとることができるのか?

例えば、

1)自分の身体の足、膝、腰、肩、腕、手をなぜ人間は意識できるのか?

2)目を閉じても、鼻、口、目に触れることができる理由は?

それは、人間には身体地図があり、地図を頼りに認識可能だからだ。

無意識に作られるボディスキーマと意識的に作られるボディイメージがある。

後者のボディイメージはわかりやすいと思う。そだ育った環境、文化、イメージによって作られるもの。

だが、

Idaは、

“I work on bodies because that’s what I can put my hands on”

(身体(実体のあるもの)を扱う。なぜならば、手で触れられるから)

といっているように、ロルフィングは実体のないボディイメージを扱わない。そこで、ボディスキーマの理解が重要となる。

無意識に作られるというのは、どのように作られるのか?

実は、

1)五感(視覚、聴覚、触覚)

2)固有感覚(Proprioceptive)

3)平衡感覚(Vestibular)

4)身体周囲の空間(Peri-personal space)

の4つの身体情報を常に身体は無意識に収集。常に無意識に身体は書き換えられていく。この視点で捉えると、なぜロルフィングが身体を整えるのに役立つか、が理解できる(「心理的、知覚的な変化〜身体地図」参照)。

ロルフィングでは、視覚、内耳感覚、筋感覚の3つのバランスを整えることがトレーニング期間中で学ぶが、上記の内容をよりシンプルにしたものだと私は、捉えている(「3つの情報収集系のバランスを整えること」参照)。

3 system in the posture 2

Tonic Functionは、Hubert Godardがダンサー、フェルデンクライスの経験等、学んだ経験をロルフィングに取り込む形で発展。Rolf Movementの先生のみならず、全てのヨーロッパのロルファーに影響を与えることになる。ただ、言語化すると非常に難しいので、トレーニング期間中は理論的な説明はそれほど行われない。

重要なのは、

「重力との関係で持続的に働く筋肉と一過的に働く筋肉は何か?」

に注目することだ(詳しくは「身体と心(2)〜Tonic Function(1)」参照)。

この点については体感していただかないとわからないので、理論的な説明が省かれていることが多い。

この考えはRolf Movementのセッションを提供する時には、特に大事になる。

最後のPre-movementは、

「動作を行う前に身体を安定化(stabilize)させるために、どこの部分に力が入っているのか?」

「動作が行われる前(Pre)」の「動作(Movement)」

のこと(「Pre-movement、ヨガ、アレクサンダーテクニック」参照)。

そして、

「立つ姿勢」から「座る姿勢」に移った際に観察しやすいことを学んだことをシェアした。

以上で、3回にわたってセミナーの内容を紹介していった。

言葉だけではなかなか、わかっていただけないと思うので、又ワークを取り入れて、なぜこれらが重要なのか?伝えていければと思っている。