2018年9月11日

【R#194】レイン・ドロップ・テクニック(3)〜五感と嗅覚:嗅覚は他の五感とどう違うのか?

前回、アロマと日本の伝統的なお香について簡単に歴史をまとめた(「精油とお香の歴史」参照)。

ヨーロッパでは、アロマは、医療的な効果が期待されて発展した歴史を紹介。日本も仏教を経由してお香が入ってきたことも触れた。

今回は、脳と嗅覚との関係について書く。

以前、「キャリアを変えること(2)〜自分の身体の状態を知ること」で、ボー・ロッドの「脳は「ものの見方」で進化する」の本を紹介した。

そこでは、

人間がモノを見る際、

脳が見るための情報のうち、目から取り入れる情報は10%、残り90%は脳の別とところから入った情報を利用し、世界を認識

視覚のみならず全ての五感についても当てはまること。

そして

人間は、

脳が過去に経験してきた記憶を頼りに、

「ありのままの現実を見る」

のではなく、

「自分が見たいように現実を解釈する」

であり、

90%に相当するのが、一人一人独自の「ものの見方」であることを紹介した。

新しい見方・気づきを与え、身体を整えていくのが、ロルフィングだ。

身体が答えを知っている」〜セッションを通じて伝えていること」に詳しく書いたが、

ロルフィングは、

「身体は、本来ある場所を分かっている」

の前提でセッションを行う。

肩こり、腰痛などの問題を抱えている人は、本来とは違った場所で身体を動かしている可能性が高い。

それに気づくため、

身体の筋膜や身体のゆっくりとした動き、使っていない五感を呼び起こすことで、少しずつ、本来あるべき場所へと手助けするのがロルフィングとなる。

新しい「ものの見方」が定着するのに時間がかかる。

このため、10回というセッションが設計されている。

さて、人間は5つの感覚がある。

触覚、味覚、聴覚、視覚と嗅覚だ。

興味深いことに、嗅覚と他の4つの感覚では、脳の処理の仕方に違いがあるのだ。

大雑把に書くと、五感の情報は、思考を司る大脳皮質と感情を司る大脳辺縁系で処理される(→つまりこれらの部位で「ものの見方」が作られる)

触覚、味覚、聴覚、視覚は、大脳皮質を経由し、大脳辺縁系へと送られていくが、

嗅覚は、大脳皮質を経由せず、直接大脳辺縁系に作用することが知られている。

例えば「犬」を見たときに、目から入ってきた光の情報を大脳皮質に伝え「犬」だと認識する。その後、大脳辺縁系へ伝え「かわいい」という感情が生まれてくる。

一方で、匂いの場合には、すぐに大脳辺縁系に伝わるので、いい香りや好きな香りを嗅ぐと、頭で考えるより先に、いい気分になってしまい、元気が出たり、リラックスしていく。

嗅覚は、情動脳に直接作用するため、リラックス効果を通じて、自律神経や内分泌系への働きがけも期待されている。

さらに面白いのは、脳の可塑性との関係だ。

環境に応じて脳は自ら変わることが出来る〜脳の可塑性について」に書いたが、

脳は全く変わらないものではなく、

「環境に応じて、脳は自ら変わることが出来る」

という事実が知られるようになった。

脳の神経細胞で数少ない再生されるものの一つが嗅覚の神経細胞だ。

塩田清二さんの「<香り>はなぜ脳に効くのか:アロマセラピーと先端医療」によると、嗅覚の神経細胞は、再生能力があるという報告があるため、外部から匂いの刺激を与えると、脳の衰えた部分、あるいは周囲の部分に働きかけられる可能性が高いという。そして、アロマは、アルツハイマー病に対する認知機能の改善や肥満、がん、痛み、不眠症に対しても効果があるというエビデンスが出てきている。

私自身、五感の中でも嗅覚は特殊な経路を使うので、精油とロルフィングと組み合わせることで、相乗的な効果が期待できるので、最近注目して取り入れるようにしている。

次回は精油について触れたい。