2018年12月3日

【B#100】トウモロコシは何でできているのか?〜雑食動物のジレンマを読んで

毎年、読書のテーマを決めて、できる限りそのテーマに沿って本を手に取るようにしている。

今年は「食事と睡眠」。

様々な本を手にとってみたが、もっとも面白いと思った本は、マイケル・ポーランの「雑食動物のジレンマ(Omnivore’s Dilemma)」だった。

本書は、2006年4月に英語版が出版。

米国食品産業の問題点に切り込んだ食品のドキュメンタリー、Food Inc(フード・インク)にご本人が出演(下記にYou Tubeで公開されている映画を紹介。残念ながら日本語の字幕なし)。わかりやすく食品業界について説明し、話題になった。

過去に

「食事がどのように消化・吸収され、栄養となるのか?」

について学んでいて、それを中心に色々と調べていたが、

あまり料理をしないためか、

「どのような食材を使って料理をするのか?」

について関心を示すことがなかった。

2017年より、ありがとう食堂、地粉道場、地粉茶会等、料理イベントを開催。

その過程で、「オーガニックとは何か?」「農作物はなんでできているのか?」興味を持つようになった。

そこで、主要な農作物である小麦やトウモロコシについて調べていくうちに(小麦は「食事は何でできているのか?〜小麦を中心に」参照)、マイケル・ポーランの本と出会った。

今回は、その本を中心にまとめているので、詳しくは、「雑食動物のジレンマ(Omnivore’s Dilemma)」を見ていただきたい。

米国は、トウモロコシの生産量、消費量、輸出量の全ての統計を取っても世界第一位。一方で、日本はトウモロコシの大部分を輸入に頼っている(下記に国内の輸入量と生産国を示す(財務省貿易統計、ISAAA、2011年)「農林水産省の「遺伝子組換え農作物」について」より)。しかも、大半が米国から・・・。

国内の家畜の飼料にトウモロコシは大量に使われていることから(農林水産省「飼料をめぐる情勢」(平成20年)より)、トウモロコシの現状について知る必要があると感じている。

トウモロコシの歴史は、インディアンが栽培していた頃から始まるが、本格的に大量生産されるのは、第二次世界大戦後の化学肥料を使われるようになってからだ。化学肥料により、トウモロコシの収穫量が劇的に向上した(化学肥料については「有機農業の歴史〜化学肥料、農薬、地力低下(欧米)、公害問題(日本)」参照)。その結果、農民にも恩恵。手間のかかった農作業が簡略化。機械化にも適応したため、収穫まで手間がかからない作業へと変わっていく。

現在では、石油に依存する化学肥料の半分は、トウモロコシに使用。マイケル・ポーランは、殺虫剤、トラクター、作物の乾燥や輸送のことを考えると、1エーカーあたり50ガロンの石油が使われる計算になると算出している。

石油が使われると何が問題になるかというと、環境への影響だ。化学肥料の全てがトウモロコシに使われるのではなく、その一部のみに使われ、残りは海に流れ、生態系が崩れていくのだ。

では、なぜトウモロコシは大量に生産されているのか?

実は、米国政府によってトウモロコシの価格が抑えられており、生産農家が損し(例、1ブッシェル(収穫単位)のトウモロコシを育てるのに2.5米ドルなのに、市場では1.45米ドルで売られている、Food Billの法律によって定められている)、食品会社が得するようなビジネスモデルになっている。そのため、農家が大損。借金を返済するために、より多くのトウモロコシを生産しなければという悪循環に追い込まれる。

参考に、米国の生産するトウモロコシの3分の1は、食品会社によって購入され、加工を通じて、莫大な利益を得ている。その結果、農家に対して、殺虫剤、化学肥料を含め備品を提供することで、益々企業が富んでいくような仕組みになっていった。

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全トウモロコシの6割近くは、家畜の飼料へ。CAFO(Concentrated Animal Feeding Operation、集中家畜飼養施設、動物工場)で使われる。Food Incでも描かれているが、動物が生育される環境としては非常に過酷。本来、工場のような場所で育つのに適さない家畜たちが集中して工場の中で、トウモロコシを含む飼料が与えられる。

早く成長し、脂の乗った食用に適した肉を早く、効率よく得ることが飼料を与える目的で、結果、安価に食肉が得られる。

しかしながら、牛は草食動物。胃は本来中性に保たれているのだが、トウモロコシを含む穀物が与えられることで、酸性の傾く。結果として、牛は痒みを感じ、肝臓の状態も悪化していくと言われている。そのような食環境だと、牛は150日前後しか内臓が維持できない。おまけに、屠殺された時に、肝臓に障害を持っている牛や感染症も認められる場合もある。その為、抗生物質も飼料に与えられることになる(抗生物質と家畜については「抗生物質の発見〜感染症の撲滅+家畜への応用+耐性菌の出現」参照)。

このような非衛生的な状態で生育された上、牛糞もそのままなので、そこから感染が起きることもがあり、食中毒(病原大腸菌のO-157の出現、耐性菌、狂牛病の出現)等、過酷な環境に生育された肉が人の健康に与える影響などが懸念されている。

トウモロコシは、原価が安いので、様々な物質に加工され、コーンスターチ、ビタミン、油、様々な種類の化学品、お酒、異性化糖、プラスチック、バイオ・エタノール等を作り出されている。

特に、異性化糖(High-fructose corn syrup)は、コカコーラ、ケチャップ、サラダ・ドレッシング、シリアル、清涼飲料水、等に含まれ、砂糖の代用となっている。

異性化糖は、血糖値を急激にあげ、糖代謝に影響を与える為、糖尿病発症のリスクが高まると言われている。

このようにトウモロコシは、様々な用途で使われているが、化学肥料を使うことによる環境問題や糖尿病など、色々と問題が指摘されている。もっとも、大きな問題は、安全性について家畜を含めた食に関しては、医薬品ほど安全性は担保されているわけではない点だ。

日本は無関係でいられない。大部分のトウモロコシを原料とする加工品は輸入に頼っているからだ。

結局、何でできているのか?消費者一人一人が自分で調べて、何でできているのか?情報収集をした上で、

「わからないものは購入しない」

という方法でいくことが大事だと思う。物を買うのは、自分で選べるわけだから。