2018年12月17日

【B#104】食事とカロリー:カロリーをどう理解したらいいのか?脳、食事、腸内細菌、

ヨガを生活に取り入れてから10年近く。食事のカロリーに気をつけ、運動量を増やせば、体重減、体脂肪率減少が期待されるのではないかと思い、実践している。

しかし、長期的に継続しても、

運動したら=痩せること

がないこともわかってきた。

「何故なんだろうか?」

と考えた際に、

「食品に表示される1カロリーは全て1カロリー」

を考えてよく、

「取り入れるカロリーよりも消費するカロリーが多ければ痩せる」

という理屈になる。

実は、近代科学では、次から次へとそれを否定するようなことがわかってきた。

そこで、食品についての2冊を紹介したい(いずれも翻訳版が出ている)。

Dr Robert Lusting: Fat Chance – The Hidden Truth About Sugar, Obesity and Disease(邦訳:ロバート・ラスティグ「果糖中毒:19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?」)は、医師として、食事と健康に取り組む過程で、何が問題なのか?について科学に基づいて書かれている。

そこでは、

「1カロリーはなぜ1カロリーではないのか?」

について以下の2つを挙げている。

1)脳は、身体よりも賢い。

身体はエネルギー(カロリー)をどのように取り入れるのか?脳と内臓は、迷走神経を通じて情報のやりとりを行なっている。脳の視床下部には、カロリーの貯蔵と消費を調整する場所(VMH(視床下部腹内側部))がある。胃腸からインスリンやレプチンなどのホルモンが視床下部へ送られ、カロリーを消費するか、食欲と脂肪を増やすかを決める。脳がホルモンの情報を受け取ることができなくなると(例;インスリン抵抗性、レプチン抵抗性)、食事量に関係なく、食欲と脂肪が増えていくので、取り入れるカロリーの数は関係なく肥満が進む。

2)カロリーには質がある。

炭水化物は、1gあたり4.1kcal/g。同じカロリーでも、デンプンと砂糖では違う形で消化・吸収される。デンプンはブドウ糖へ分解され、エネルギーとして使われる。砂糖は、ブドウ糖、ガラクトース、麦芽糖、乳糖があるが、それぞれの方法で代謝される。

今問題になっているのは、ショ糖とトウモロコシから作られるHFCS(High Fructose Corn Syrup)だ。いずれも、果糖が含まれている。本書では、アメリカで果糖の消費量が増えており、これが肥満の原因になっているのではないかと考えられている。

ブドウ糖の場合は、余分な糖分は肝臓デンプン(グリコーゲン)で、さらに余分にある場合には中性脂肪として脂肪細胞へ移される。さらにブドウ糖は血流中で蛋白質と結合し、糖蛋白となり、老化の促進や活性酸素が放出される。

果糖を身体内で分解されるためには、ブドウ糖の3倍のエネルギーが必要。果糖からは、グリコーゲンが作られず、大部分は中性脂肪が作られる。さらにブドウ糖に比べ7倍量の糖蛋白が作られる。そして、肝臓のインスリン抵抗性を招くなどの影響がある。

・蛋白質は、1gあたり4.1kcal/g。蛋白質には、卵のように高品質なアミノ酸からなるもので、食欲を抑制する方向へ働くものや、ハンバーガーのようにBCAAを持っており、大量に摂取するとインスリン抵抗性とメタボリックシンドロームを引き起こす可能性がある。

・脂肪は、1gあたり9.0 kcal/g。抗炎症物質として働く脂肪と、心疾患、脂肪肝を引き起こす脂肪の2種類がある。

このように、同じカロリーの食材でも違った影響を身体に与える。

そして、2冊目。

The Diet Myth: The Real Science Behind What We Eat(邦訳:「ダイエットの科学:「これを食べれば健康になる」のウソを暴く」)は、データに基づいて食品についての良し悪しについて紹介している。

1)同じカロリーでも何をとったかによって身体の影響が違う

42匹のサルを6年間にわたって同じカロリーで食事を与える実験を実施。同じ組成の食事を与えるが、17%の脂肪については、植物油とトランス油(人口油)と2つのグループに分けて行った。その結果、トランス油を与えられたグループは体重が3倍、内臓脂肪も増加、インスリンの分泌にも悪影響を及ぼしたという。

このように、どのような食事をとるのか?によって身体への影響も違ってくる。

2)腸内細菌もカロリーを使う。

カロリーは、100年前に編み出された計算方法だが、胃腸の長さによって消化・吸収が決まること(人によって腸の長さが違う)や消化吸収の際の、腸内細菌の存在によっても変わっていく。

例えば、腸内細菌は一人一人違っており、多種多様な食物を摂ることが、多様な腸内細菌(=腸内細菌が健康になる)に重要。しかし、マクドナルドを含めたジャンクフードは、トウモロコシ、小麦、大豆、肉の4種類のみからできている。種類が少ないと、栄養として使える腸内細菌も限られ、多様性が失われる。結果、病気を引き起こす可能性がある。実は、15,000年前は1週間に150種類の食物をとっていたが、今は20種類以下まで落ちているというデータもある。

そして、「人と常在菌との関係〜常在菌へのアウトソーシング」にも紹介したが、人の代謝を手助け、人が取り入れる食品の中で、腸内細菌は15%のカロリーを消費するとも考えられている。

このように同じ2000カロリーでも、マクドナルドと野菜、果物中心の食事では自ずと結果が違ってくる。

3)カロリー表記が正確かどうか???

米国では、食品に書いてあるカロリーも20%の誤差まで許させること、冷凍加工食品のカロリー、食物繊維、はそれぞれ70%、30%過小評価されることも。あるという。

そして、カロリー計算を正確に算出できた一般人は7人中1人という米国の疫学データもある。

カロリーについて色々とまとめてみた。このように考えると、一人一人にあった食事の仕方が如何に大切か、お分りいただけたかと思う。