2019年6月4日

【Y#71】からだの学校(3)〜脾について:消化器の働きを管理し、食事による影響を受ける

2019年6月2日(日)、「からだの学校【東洋医学】@Kei.K Aroma Studio(神奈川)」(開催は、Kei.K Aroma Studio)の講座(講座は全6日間)の3回目を受講した。講師は札幌在住の風の音の治療院・安部雅道先生(鍼灸師、以下安部さん)。

1回目が、陰陽・五行論(「東洋医学の基本的な考え方に触れる:陰陽説、五行説、自分で基準を作る」参照)

2回目が、五行論の「木」「火」(「心・肝について:感情、生理、睡眠及び西洋医学との関係性」参照)

について学ぶことができた。

今回は、3回目。

土と金について取り上げた。

土の五臓は脾臓、五腑は胃。

西洋医学では、脾臓の大きさは、通常10cm x 6cm x 3cmほどの大きさで、左脇腹にある造血・リンパ器官であると学ぶ。働きとしては、乳幼児の血球(赤血球、白血球、血小板)を作る場所であり、さらに、古くなった血球を処理し、血液を蓄えたり、リンパ球を作り出し、免疫反応に関わることを学ぶ(「一般社団法人・日本消化器外科学会HP」参照)。

では、東洋医学ではどうか?

脾の役割は、

1)消化器(口から肛門)全体を管理し、食べ物から「氣」「血」「水」(栄養)を作りだす(氣血生化の源)。

2)食べ物を消化吸収し、全身に輸送する(運化を主る)。

3)胃と小腸で消化・吸収し、エネルギー(精緻)を作る。精緻を巡らせることで全身を栄養にする(水穀の運化)。

4)飲食物中の水分を肺や腎臓に送って、体内の水分量を調整する。脾の働きが落ちると、体に水分が溜まってしまう(水液の運化)。

と多岐にわたる。

解剖学でいう脾の役割は、西洋医学とかなり違うことがわかる。

参考に、

西洋医学での消化器の働きは、

食事が口から入り、食道、胃、十二指腸、小腸に送り込まれる。その間、胃酸や膵臓から出る消化ホルモンの力を借りつつ、時間をかけて、食事からの栄養素(炭水化物、脂質、蛋白質)を分解、小腸から吸収できるような形へと整えていく。

最終的に、小腸で栄養素は吸収され、門脈を通って肝臓に一度集められる。

肝臓で、身体内で利用できる形に加工され、肺、心臓を経由し血液を介して、全身に栄養に送られていく。

吸収できなかったものは、大腸で腸内細菌の力を借りつつ、水の吸収が行われ、最終的に便とともに排出する。

この一連の流れを監視し、司令塔的な役割を担うのが、東洋医学では脾だ。

脾のペアとなるのが胃。

胃は

「食べ物を受け入れる場所であり、初歩的な消化をし小腸に送られる(受納を主り、水穀を腐熟する)」

役割を担い、西洋医学と同じ役割を果たしている。

脾と胃の役割分担としては、

脾は、食物から作り出されたエネルギーを上(頭、心臓、肺)に昇らせる(脾は昇精を主る)

胃は、食べたもの(濁)を下にある小腸や大腸に送る(胃は降濁を主る)

脾の働きが弱まると、食後の眠気、脱力感、めまい、内臓下垂等が起こり、胃の働きが弱まると、食欲低下、膨満感、ゲップ、嘔吐、口臭、便秘などが起きてくる。

脾は筋肉(東洋医学では肌肉)に栄養を貯蔵する役割を担っていて、身体を動かすためのエネルギーとなる。

肝臓も筋肉を管理すると言われ、東洋では脳と筋肉の間のコミュニケーション、神経、特に自律神経に関わっていると学んだが(「心・肝について:感情、生理、睡眠及び西洋医学との関係性」参照)、肝臓は動き自体(可動域、のびのびと動く、柔軟性)に関わっているらしい。

興味深かったのは、心理学との関係性。

脾が正しく働くと、知恵を使って深く考えることや感情的に思うことができるようになるという。しかし、過度な思い込み、悩みは逆に消化器の働きを下げてしまうことにつながる。

なので、東洋医学的には、

八方塞がりの困った問題が起きたら、消化器=脾を整えなさい!

とアドバイスすることになる。

なぜそうなのか?

東洋医学では、食欲は「氣血(栄養)を作りたい」欲から起きると考える。

興味深いのは、

食欲は西洋の心理学のようにいくつかの欲求に分けるのではなく、一括りにして、物欲を含めた全ての欲求が含まれていることだ。

消化・吸収された栄養を分配し、活動しやすいように身体が整っていくが、このプロセスで、脾は消化器が働きやすいように整理整頓をする。

マクロビオティック生活〜自分に優しい食事の基本」に書いたように、食事を取る目的が「身体を緩めること」であること。

脾は、身体を「緩める」役割を担っていることから、脾の働きが落ちると、意欲が低下していくことになることに繋がっていく。

他にも、脾は、消化器(口から肛門)全体を管理しているので、口や唇の状態を観察すること(例えば、口内炎、口角炎)で脾の働きの状態もわかるという。

脾にとって、甘いものの取りすぎ、偏食、化学調味料、添加物が負担のかかることなので、食事から整えていくことが重要となる。

消化器を動かすためには、欠伸(あくび)(→口を動かすこと)が重要で、東洋では氣を巡らせるため、内臓を緩めるために、そして活動モード、おやすみモードを切り替えるために、意味があるのだ、と安部さんが伝えていたのが、印象的だった。

脾は脱線しやすいパートで、時間もそれなりにかかったが、安部さんがうまくまとめて、今回も理解することができた。

スペースの関係上、金については次回取り上げたい。