2019年7月27日

【N#29】『髪。ヘアケアの基本のき』〜髪の構造、排泄器官としての役目、ヘア・ケア、シャンプーについて

2019年7月26日(金)、午後8時。サロン・ZEROにて、SKIPとの共催で、化粧品スペシャリストの本庄鉄弥さん(以下、本庄さん)を招いて、

「髪。ヘアケアの基本のき」

で食事付きでの講演を開催させていただいた。

本庄さんをお招きするのは3回目(1回目は「『香りと身体』〜嗅覚や香りがどのように身体に影響するか?何を知っていればいいか?」、2回目は「『自分の肌どれくらい知っている?スキンケアの基本のき』〜皮膚の構造、石鹸vs合成洗剤、ケアについて」参照)になる。

肌の一部ともいえる髪。テレビの広告の影響もあり、ほとんどの人が毎日髪を洗うことが大事だと信じ込んでいる。

例えば、「本当にその髪の洗い方は正しいのでしょうか?」のサイトでは、1週間に毎日シャンプーする方は7割近くにも及ぶデータを紹介している。

実は、毎日が普及したのは最近のこと。本庄さんは、某シャンプーメーカーの広告を紹介していたが、戦前はせめて月に2回、と謳っているように、毎日は常識ではなかったとのことだ。

シャンプーをなんとなく、毎日、親に言われた方法でやっていて、もしかしたらそれで頭皮を傷つけているかも・・・と意識がないままの人が圧倒的に多いと思う。

実は、髪の話、頭皮の話は普段中々意識しないし、なにが正しいかも学校で教育を受けない。

スキンケア同様、どうしても企業やマスコミの情報に振り回されてしまっている方が多いのではないかと思う。

最近では、シャンプーを使わず、湯シャンがいいという情報をネット上で見かけるようにようになった。他にもシャンプーはノンシリコンがいいとか、薄毛予防には○○がいいとか、電車のAGA広告とか。

インターネットの情報を試行錯誤して、自分の身体で実験しながら効果的な方法を探るのは方法の一つですが、せっかくなら専門家の方から話を聞いたうえで自分の生活にとりいれた方がいいのではないかという思いで、髪について取り上げた。

本セミナーでは、5つのテーマが取り上げられていた。

まずは、髪の基礎知識から。

胎児の段階で、母体の中で頭皮に変化して、髪の毛は作られていく。

最初に、頭皮がヘコんで毛穴ができる。そして、毛細血管が入り込むことで毛穴が変化する。

血流によって栄養が運ばれ、毛穴の底に栄養素が溜まってくる。毛乳頭という蓄えられた場所が作られる。毛乳頭から髪の毛のベースとなる毛母細胞が作られる。

毛母細胞は、毛乳頭から供給される栄養を使って、髪の毛を作る。毛穴の底で、毛の元ととなる細胞が作られるので、どんどん上に押し出されていく。

面白いのは、最初は毛は白髪であること。色素細胞から作られるメラノサイトによって色が付け加えられることで黒い(や他の色)髪が作られていく。

尚、髪の大部分はケラチンというタンパク質からなっているのでダメージを受けやすい。市場に出回っている石油由来の界面活性剤の力は強すぎる。過去にラウレス硫酸ナトリウムが使われることが多かったが、ダメージが大きいので、現在では使われていない。スキンケアの時に書いたが、私個人は石鹸を使うことが大事なのではないかと感じた(石鹸については後述する)。

やがて、髪の毛は頭皮面から押し出されていく。人が誕生するまでに、なんと男女共10万本の髪が作られる!

興味深いのは、髪は新陳代謝が行われていること。人間の細胞は全て「異化」「同化」を行うことで生命活動を行うことを以前触れたが(「「栄養分析プログラム」の血液検査+有機酸検査について」参照)、髪も同じ。

長くて硬い髪を中心に毎日平均100本前後の髪が抜け落ちるが、短くて柔らかい髪の毛は抜け落ちる量は多いということ。ヘアサイクルの流れもあり、成長期(3〜6年)、退行期(2〜3週間)、休止期(2〜3ヶ月)をへて、脱毛へ。薄毛の場合には、成長期や退行期がなく、直接休止期になるという。

髪が生まれ変わる時に、毛母細胞のふるさと(細胞生物学では、生体内で幹細胞(大元となる細胞)がその性質を維持するために必要な微小環境のことで、幹細胞ニッチと呼ばれる場所)=バルジ領域から細胞が供給される。

毛包幹細胞と色素幹細胞だ。

毛包幹細胞は、髪の毛の型を決めるもので、自分の髪のコピーを忠実に再現するもの。一方で、色素幹細胞は髪の毛の色を忠実に再現するものだ。下記のスライドが示すように、毛乳頭とは別の場所にある。毛を抜くと、血管にストレスをかける形をとる。周りの毛にもお大きな影響を与えるし、コピーの再現を実現しようと働くので、白髪を抜くと、白髪が減るのか?という質問が出たが、白髪が増えていく可能性が高まる。

面白いのは、毛は外から刺激が加えられると、免疫細胞が集められて、炎症が起きやすくなることだ。これは刺激が与えられすぎると、皮膚にも炎症が起きるのと似ていて、つくづく髪と皮膚は似ているものだと感じる。

皮膚同様、常在菌が皮脂を取り込んで皮膚バリアを作るが、髪のコーティングや天然のクリーム的な役目を果たす。

髪は、排出器官としての役割もある。

髪の少なさ・多さによって排泄される重金属の量が全く違う。

カドニウム、水銀、鉛、ヒ素が出ていくので、脱毛は排泄には逆効果や、サプリメントを取りすぎると、逆に育毛には悪い影響を与えたりと面白い話もされていた。

髪は咀嚼や血液の循環を良くすれば、黒髪になる可能性が高い。頭皮は薄く、その直下には毛細血管が集中している。

頭皮を手を全部覆いながら頭皮をずらすことをイメージ。ずらすように動かすだけでも、血液の循環が良くなるのですっきりとした表情へと変化していく。

さて次に、ヘアケアはどのように行ったらいいのか?

意外だが、まずは洗う前にヘア・ブラッシングを行う。AVEDAのパドルブラシを含め、様々なものが発売されているが、刺激を与えないものがいい。生え際から頭頂まで汚れを浮かすイメージで。

シャンプーの前にお湯で予洗いをした後、シャンプーを泡立てる。そして、泡の力を使って、髪皮脂が集中する後頭部から指でマッサージする形で髪を洗う。その際、頭皮を刺激したり、ゴシゴシ洗うと、頭皮がダメージを受けてフケ(余分な角質を出す)の原因となる。毛先を包む、押すようなイメージで行う。

地肌からドライヤーを当てて温風(毛穴が開く)で乾燥し、涼風で毛穴を引き締めることで仕上げていく。

そしてトニックなどを使って保湿を心がける。

最後に、シャンプーとリンス・コンディショナーについての話だが、なんのために洗髪するのか?の理解が不可欠だと思った。その点、本庄さんは明確。

トラブルの原因をなくす、綺麗になるような力を応援する。そのためには、髪の毛の知識を知った上で、ケアする。個人的には、ここでヘッドマッサージを取り入れることや、身体に優しいシャンプーを使うことへの判断軸を自分で養っていくことの大切さを痛感した。

界面活性剤・石鹸の違いや、どのような成分が有害なのか?

石鹸は弱アルカリ性だが、水で薄めることで中性に傾き活性を容易に失う。なので、短時間でクレンジングすれば、汚れのみを取り去るアイテムとして適している

さらに、常在菌は石鹸カスの脂肪酸を代謝できる(元々、皮脂の脂肪酸をエサにしている)ために、洗い残したらがあっても2時間ほどで肌を弱酸性に戻すことが可能

一方で、界面活性剤は、髪へダメージを与える可能性が高い。

シャンプーは、弱アルカリ性、コンディショナーやリンスは弱酸性で中和する役割を担う。その上、髪をコートしてくれる役目を果たす。このことを知った上で使い分けることを説明した。

常在菌にとって何が有用なのか?腸内環境同様、毎日とり入れるものに対して、本セミナーは、自分で考えるいい機会となった。

個人的には、2日に1回のシャンプーで十分だという印象を受けた。

最後に、本セミナーで提供された料理の写真を一枚紹介し、本コラムを終えたいと思う。

今回もヘッドマッサージを含めたデモもあり、面白いセミナーだった。今後とも定期的に健康についてのセミナーを開催していきますので、またご案内させていただきます。

過去のSKIPと共催したイベントについては以前のブログ記事でまとめていますので、ご参考になれば幸いです。

1月の「化学農業vs有機農業」(「『化学農業vs無農薬農業vs有機農業』〜食事の材料をどのように理解したらいいのか?」参照)

2月の「栄養・サプリメント」(「『食事の栄養とサプリメントの栄養の違い』〜食事の消化・吸収について」参照)

3月の「糖質制限」(「『糖質制限を知る』〜糖質制限をすると何が起こるのか?筋肉が落ちることを含め」参照)

4月の「老化」(『老化について』〜どのように老化を考えるか?〜細胞に組み込まれたプログラムとしての老化」参照)

5月の「香りと身体」(「『香りと身体』〜嗅覚や香りがどのように身体に影響するか?何を知っていればいいか?」参照)

6月の「スキンケア」(「『自分の肌どれくらい知っている?スキンケアの基本のき』〜皮膚の構造、石鹸vs合成洗剤、ケアについて」参照)