2019年10月25日

【N#35】腸内フローラを整える理論と実践〜腸内細菌について何がわかっているのか?

2019年10月24日(木)、午後7時。妻からの紹介で、渋谷区文化総合センター・大和田で開催された分子栄養学セミナーに参加してきた。

題名は「腸内フローラを整える理論と実践」、演者はブログ「ビタミンアカデミー」主宰・分子栄養学認定カウンセラーのまごめじゅん先生(以下まごめ先生)だった。

今回のテーマは、腸内フローラ。

腸は、小腸(十二指腸、空腸、回腸)と大腸(盲腸、結腸、直腸)からなるが、そこに色々な細菌が生息している。まるでお花畑の様相があるので、お花畑=フローラと呼ばれている。

一人一人、腸内に住み着いている細菌が違う。それぞれが一つの生態系を作っていることから、その生態系を腸内細菌叢(そう)と呼ぶこともある。

マーティン・ブレイザー「失われてゆく、我々の内なる細菌」によると、

人の身体には、合計で100兆個の常在菌(1,000〜5,000種類存在すると推測されている)が存在し、人間の全細胞数(30兆個)より多いとのこと。常在菌を全てを集めると重さが3ポンド(1.3 kg)に及ぶ。この重さは、脳とほぼ同じになる。

どんな種類の細菌がどれくらいの量と種類が存在しているかは人それぞれだが、どのような環境に育ったか、自然のなかで育つのか?それともコンクリート、ビルの中で育っているのか?によって腸内細菌叢が異なり、自然の中で育った方が、細菌の種類が多様、人口的な環境だと種類が限定される傾向があり、後者はアレルギーを引き起こしやすいことも知られてきている。

それを裏付けるようなデータもある。例えば、農耕や牧畜によって自給自足しているアーミッシュの人たちのアレルギー性疾患の発生率がなんと1/20と言われているそうだ。

まごめ先生は、腸の基本的な働きからの説明から入った。

腸は、栄養の吸収(小腸)、排泄(大腸)、消化液、ホルモンの分泌(十二指腸、小腸)もさることながら、有害物質のフィルターとしての働きや腸内細菌による栄養素の合成、油を吸収するために分泌される胆汁酸についても説明。

特に、小腸粘膜の構造を知ることの大切さを語っていた。

小腸粘膜の表面にある円柱上皮細胞は1層構造。物理的圧力や傷がつくとすぐに剥がれ、寿命は1〜3日と言われている。1日に約150g(卵二個分)の上皮細胞が剥がれて腸管から便として排出されていく。参考に、便の1/3は腸内細菌の死骸、1/3は食物繊維、1/3は小腸の細胞が剥がれたものから構成されるらしい。

腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌等知られている。

近年、便からとってきた細菌を栄養を与えながら1週間かけて増やし(培養と呼ぶ)、細菌のDNAをシークエンサーを使って解析できるようになった(「人と常在菌との関係〜常在菌へのアウトソーシング」参照)。ただし、培養できない菌もあり、まだ腸内細菌についてわからないことが多い。

腸内細菌は、食物繊維を分解して、ビタミンや脂肪酸(短鎖脂肪酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸)を作る。ビタミンは人間の栄養の分解と吸収を良くするために働くが、短鎖脂肪酸は、腸粘膜細胞のエネルギー源(参考に、グルタミンと酪酸がエネルギー源)、食欲の抑制や抗炎症等の働きを示す。

このことから、腸内環境が悪化すると、慢性炎症を含め問題が起きてくる。

悪化の原因としては、抗生物質の濫用、食品添加物(例、乳化剤)の取りすぎ、パン、麺等のグルテン、抗菌製品があげられる。

抗生物質の発見〜感染症の撲滅+家畜への応用+耐性菌の出現」では、山本太郎先生の「抗生物質と人間:マイクロバイオームの危機」の本を紹介しているが、抗生物質は殺菌作用だけではなく、動物の成長作用もあるので、家畜に応用されやすい。

そして、食品添加物は「『スッキリ解決!巷で話題の「いい食品」「悪い食品」賢く選ぶ・私になるポイント』〜食品の選び方と食品添加物について」で取り上げたように、現代社会の利便性を高めるために、様々な添加物が開発され、外食の多い現代。自ずと添加物に触れる機会が増えてしまう。

この結果として、腸粘膜の慢性炎症、カンジダ症、上咽頭炎(「慢性上咽頭炎とは?〜上咽頭炎によって身体の影響?アレルギー、腎炎、腸炎との関係等」参照)、リーキーガット症候群(下記の本「リーキーガット症候群」参照)、SIBO(「栄養分析プログラム」の結果+体質を理解すること:胆汁のうっ滞、SIBO、肝機能;糖質制限の向き・不向き」参照)等を引き起こると言われている。

この点、欧米の科学論文を中心に紹介され、如何に現代病は腸内環境に左右されていることを、スライドで紹介されていった。

ポイントとして、歯、喉、腸の3つをチェックすることだそうだ。なぜならば、この3つのどれかが炎症を起こしていれば、他の場所も炎症も起こしているから。

最後には具体例で、どのように腸内環境を改善していったらいいのか?

食物繊維、高アミロース米(インディカ米、タイ米を取り入れる)、レジスタント・スターチ(じゃがいも、芋)、サワークラフト、らっきょう、糠漬け等、紹介があった。

内容が盛り沢山で2時間を超えるセミナーだったが、腸内細菌の基本的な知識はほぼ網羅されていた。

来年以降、分子栄養学セミナーの初級、中級、上級と3段階でセミナーの形で開催する予定だが、どのように知識を提供するのか、本当に参考になった。

まごめ先生は、定期的にセミナーを開催されているので、もしご興味がありましたら、ブログ「ビタミンアカデミー」をチェックしてみてください。