2020年1月26日

【N#43】「元素とは何か?」(1回目)〜「自分で考える力」とは何か?言葉を知ること、生活と関連づけること、科学の限界を知ること

2020年1月25日(土)(旧暦の正月)、午後2時から午後6時までの4時間。参加者とともに、身体の学校・ZERO塾の0期の講座が始まった。

1回目は「元素とは何か?」だった。

中・高校で学ぶ化学・物理とは一味違った、実体験に基づく授業にしたいという気持ちがあった。

単なる、知識を暗記だけではなく、

1)自分で考える力(自分軸)を身につける<発想力>

2)情報の集め方を学ぶ<情報収集力>

3)知識を応用・実践のためのの<応用力>

の3つに分けて「考える力」を養うことを目標としている。

そこで、参加者のご意見を伺う形で、セミナーを進めた。

用意した資料は、テキスト、スライドと参考図書。おおよそ100ページ分の情報量の多いものになってしまった(汗)。

そこで、本コラムでは、「自分で考える力」とは何か?について紹介したい。

参加者からそれぞれの意見を伺った上で、以下の3つの要素について紹介した。

1)「言葉」を知ること。

「自分で考える力」を養うためには、「言葉」がないと考えることができない。

当たり前といえば当たり前だが、16世紀までのヨーロッパ諸国で、科学を語る言葉は「ラテン語」しかなかった。

西洋の科学の考えは、キリスト教のみならず、イスラムを含めた外部からの刺激を受けて発展している」に書いたが、西洋の科学は、

ギリシャ→ヘレニズム文化(アレクサンドリア図書館)→ペルシア帝国→イスラム文化→ヨーロッパの教会・大学→ルネサンス・ヨーロッパ→ヨーロッパ諸国

の順番で知識が伝わっていく。

面白いのは、イスラムで発展した考えが、スペインのトレドで翻訳された際には、まずはラテン語に翻訳されたことだ。

一部の知識層(教会関係者、弁護士、医師(内科医))は「ラテン語」を使って修道院や大学で活動していた。

一方で、手仕事をメインとした職人の存在は知識層から不当に差別されていた。彼ら職人は、師匠へ弟子入り。ギルド組織を形成し、秘密主義を貫く。

驚くべきことに、手仕事は医療にも及び、医師の中で外科医と理容師が手術や解剖を受け持って、医師(内科医)から不当に差別されていた。

職人と商人の日常会話は俗語と呼ばれる現地の言語。今で言う、フランス語、スペイン語等、ラテン語の方言を使っていた。

経済が発展していくことで、物事をありのままに見ること、測ること、数字で物事を現すこと。等の考え方がヨーロッパ中広がっていく。やがて、これが近代科学を誕生させるきっかけとなる。

医療の世界では、ペストが大流行し、多くの人たちが死亡した。その際、ギリシャ古典に囚われていた内科医の力が無力だったことが判明。その結果として、外科医や理容師が台頭し、ラテン語ではなく現地語で成果を発表。社会に受け入れられるようになる。

次に、14〜15世紀にイタリアで、商人や職人のために算数、読み書きをラテン語以外の現地語(イタリア語)で教える「算数学校」が始まる。商人・職人を含め一般庶民の識字率が上がっていく。

その後、グーテンベルグの印刷術が開発(1439年頃)

16世紀から、聖書がラテン語からドイツ語に翻訳。他の言語への翻訳も続いた。

結果、一般庶民でも聖書を手にすることができるようになった。

興味深いことに、現地語は、用語や文法も貧弱。込み入った思想や抽象的な学問を表現できなかったという。そして、聖書が翻訳される際に、新たな単語が発明されていった。

その際、各国語の統一が行われる。スペイン語は、カスティリア方言(スペイン王家の言葉)を、フランス語は、イル・ド・フランス地方のフランシアン語、イタリア語は、トスカーナ方言、イングランドはロンドン方言等、英語がそれぞれ採用された。

結果、文法と単語が整備されることで、各国語で科学を表現できるようになった。

なんと、17世紀までに大部分の科学の組織は、母国語を採用。その刊行物を(それぞれ)イタリア語、英語ないし、フランス語で発行したらしい。

この結果、一般庶民も科学を理解できる言語を手にすることになる。

つまり、科学で使われる「言葉」が整備できていないと科学を語ることができないのだ。

だからこそ、「言葉」の大切さをセミナーの中で紹介した。

2)「生活」と関連づけて考えること

化学の挫折している方を見ると、化学を丸暗記するものと考える人が多い。

抜けているのは、「化学」は生活に役立つためにあるわけで、社会に受け入れられたから、学問として成り立っている視点だ。今回のセミナーの内容では、生活とどう関連づけるのか、例を挙げながら説明。研究者たちが、どのようにして答えにたどり着いたのか、そしてそれが生活にどのように役立つのか?例をあげながら説明していた。

例えば、空気には重さがあることがわかったのは、1640年の頃。空気には圧力=大気圧の存在が明らかになっていったが、どれだけの力があるのか?60kgの人が人間の身体の上に乗ったら、大気圧の1/8に過ぎないことを紹介。数字で計算できることを紹介した。

大事なのは、生活と関連づけること。そこから、理論を学ぶと知識が深まることを伝えた。

3)「科学」の限界を知ること

実は、科学は全て「仮説」に過ぎたいこと。実験で事実を明らかにしていく学問であるが、飛行機はなぜ飛ぶのか?を含めわかっていないことが多い。あやふやな土台の上に、230年近くの化学の歴史しかないことを紹介していった。

例えば、アリストテレスが唱えた4元素論の歴史は2000年近く、近代化学(118種類の元素)の歴史は220年と比較的歴史は浅い。

所詮科学は「仮説」に過ぎず、鵜呑みにせず、自分で確認しながら進めていくこと。ましては知識を暗記してもそれほど意味のないものだことが参加者の中で理解されたのではないかと感じている。

セミナー中に多くの質問をいただいたのはありがたかった。終わった後に、

「わかりやすかった」

「刺激的な時間だった」

といった感想を伺うことができた。

次回は、「化学結合」について。

大事なのは「電子」の考えを理解することだ。

どのようにして電子が発見され、その結果として何がわかったのか?電子の考えを知るとなぜ化学結合の理解が深まるのか?そして電気の仕組み等、取り上げる予定だ。今後とも、参加者とともに内容を作っていければと考えている。

最後に、今回貴重な時間を割いていただき、ご参加いただいた皆さんに御礼を申し上げて書き終えたい。