【R#208】SPT Module 3(2)〜初日を迎えて〜介入をしないこと・瞑想とSPTの共通性・シャーマンとの関係性

2020年10月6日(火)、ソースポイントセラピー(以下SPT)のトレーニング(Module 3)の初日を迎えた。

どのようにしてSPTと出会い、今に至っているかについては「ソースポイントとの出会いから、今まで学んできたこと」に書いたので、ご参考にいただければと思う。
SPTのトレーニングは、全3段階(合計12日間)からなる。
第一(Module 1)、第二段階(Module 2)は、TEN〜the space for your Life & Bodyを主宰しているロルファーの佐藤博紀さん(以下ヒロさん)から受けることができる。

実際、
1)SPTのModule 1(2015年10月10日から12日、合計3日間)(「「人間として形付けられるために必要な元となる情報」=「ブループリント」を知ること」「先生を選ぶことの大切さ〜フィードバックをどのように見るかの基準」「知識よりも感覚をどう使うのか?〜ブループリントへのアクセス」参照
2)SPTのModule 2(2015年11月21日から23日、合計3日間)(「ブループリントへの具体的なアクセスの方法+人の身体はどのように変化するのか?」「ソースポイントのトレーニングはどのように進むのか?どのようなテクニックがあるのか?」「身体にとって健全な情報というのは何か?」参照)
の期間に受講した。

第三段階(Module 3)は、創始者で、アドバンス・ロルファーのBob Schrei(ボブ・シュライ、以下ボブ)と瞑想の先生であるDonna Thomson(ドナ・トムソン、以下ドナ))の2名から受講。ヒロさんが通訳を担当する。

あいにくのコロナ禍のため、ボブとドナの来日が叶わなかった。そのため、ZOOMで、ヒロさんのスタジオがある、TEN(大阪・北浜)と創始者の2名が拠点としているサンタフェと結ぶという、初の試みが行われた。


そして、時差の関係もあるため、午前中に、ボブとドナとZOOM。午後はヒロさんからModule 3のより細かいところを学んでいくのが1日のスケジュールになっている。
なお、クラスは、全6日間(10月6日〜12日で9日が休み;午前9時から午後5時まで開催)、参加者は12名だ。

初日には、スライドのプレゼンテーションも映し出し、ボブとドナが交互に話す形で進んでいった。
瞑想の先生であるドナから、瞑想へのガイドがあり居心地が良かった。その後、瞑想とSPTとの共通性についての話から入り、モジュール1と2で学んだことをどのように洗練させていくのか?について取り上げていった。
瞑想は「呼吸」を意識するだけではなく、周囲の音、感覚、マインドの中の考え、周囲の場などを同時に意識する。

SPTも、「人間が人間として形付けられるために必要な元となる情報」=「ブループリント」を決めれれたポイント(ダイヤモンドポイントやレクタングルポイント等)に集中・意識を向けるが、同時に部屋の全体の変化にも目を向ける。
その共通性があるので、瞑想が重要であること、そしてSPTは瞑想を深めるのに手助けするよ、と改めて説明を受け、あ、なるほどと感じた。
さらに、今回は、その意識をどのように深めていくのか?Module 3では、ブループリントを目に向ける際に、意図を洗練していくことも学ぶ。
さらに、
ブループリントに任せるので
「介入しないこと」
の大切さも学んだ。
ボブとドナは、長きにわたって禅の実践が長く、良寛の言葉の引用や龍安寺の写真を含め、SPTのワークは日本との縁が深いことも理解できた。
やはり、一番面白かったのは、シャーマンとの関係を取り上げた時だった。


実は、Module 3のクラスを受ける前に、Michael Pollanの’How to Change Your Mind: What the New Science of Psychedelics Teaches Us About Consciousness, Dying, Addiction, Depression, and Transcendence‘(邦訳:マイケル・ポーラン(宮﨑真紀訳)「幻覚剤は役に立つのか」)を読んだ。
そこには、薬物が発見される前から、世界中で、自然からとれる幻覚剤は、インディアンやシャーマンたちによって宗教的儀式に使われていたこと、そして、幻覚剤は、どのような歴史を辿って現在に至っているのか、わかりやすく書かれており、面白かった。
実は、中世ヨーロッパでは、麦角菌汚染されたライ麦のパンにより、麦角中毒がしばしば起きている。この現象に興味を持った、製薬企業の研究員だったアルバート・ホフマンがLSDを発見。
続けてマジックマッシュルームからシロシビンも発見。

初めて、製薬業界で幻覚剤というジャンルが誕生していく。
50年代から60年代にかけて、米国で一時200万人に及ぶ人たちが幻覚剤を使い、ヒッピーを含めた米国のカウンターカルチャーに大きな影響を与えた。精神療法にも使われており、アルコール中毒や、うつ症状を含めた精神疾患に対して、有効性を示していたという。
ただし、LSDは強烈な効果を持つため、一般大衆の間に広がることにより、服用中の事故が多発。若者やヒッピー、反戦主義者へのLSDの使用者が増えることなどにより、最終的にLSDの非合法な販売は禁止へ。今では、全世界的に、特定の医療目的を除き使用は非合法だ。
チェコ人のスタニスラフ・グロフは、精神疾患に対してLSDを3,000症例の使用した経験があったが、1960年代アメリカで使用禁止が決定。方向転換し、LSDと同じような効果を示す、ホロトロピック・ブレスワークという呼吸法(一種の瞑想法)を生み出した(参考に、グロフは、一時エサレン研究所で教えていたことを「心理学とボディワーク」で取り上げた)。

ポーランの本では、瞑想と幻覚剤の作用は似たような効果があることを、最新の脳科学の研究で示している。
例えば、通常の場合には、脳内の自我の作用を示すと言われるDefault Mode Network(DMN)が働くことで、脳内の各部位は秩序を保っているが、幻覚剤や瞑想を行うと、DMNが抑制、脳内の神経系が組み換えが起こるという。そして、この脳の神経系の組み替えは、4歳児の脳の状態に非常に似ていて、脳の可塑性が増すというのだ。
そして驚くべきことに、2016年以降、米国の医療当局(FDA)が、治療抵抗性うつ病や禁煙に対する効果を試すためのシロシビンに対する臨床試験が行われるようになり、今後、精神疾患や医療目的で使われるケースが増えていくことが予想される。
幻覚剤の科学や歴史的な側面がわかっていると、シャーマンへの理解が深まっていくのではないかと思う。
ドナとボブは、幻覚剤については全く触れていなかったが、シャーマンについて、病気との関係について、面白いことを紹介してくれた。

例えば、
「シャーマンは病気をどう見ているのか?」
に対して、
・病気や怪我や超自然との関係が崩れた結果として起こると信じられている
・外部のネガティブなエネルギーの影響が
・これらの崩れた関係性を修復するのが、シャーマン・プラクティスだ
・シャーマンが行うことは人間とスピリチュアルな世界をつなげることで、適切な関係性が修復されること
・邪気、外部の有害な影響
等だ。
シャーマンはこれらを、儀式やイメージを通じて、行っていく、いわばヒーラー的な役割を担っている。
ボブとドナがいうのは、SPTとシャーマンには共通点があるとのこと。

双方とも
「外部のエネルギーで流れを妨げるものを除く」
ことを行う。
その上で、
SPTの方は、
「ブループリントにアクセスさえすればいいので、方法は非常にシンプル」
だ、と話していた。
今回、ボブとドナと初めて、ZOOMで話を聞く機会があったが、話が非常にわかりやすく、SPTの位置づけ、禅との関係性や、シャーマンとどう結びつくのかを含め、大いに役立つ情報が満載でよかった。
初日の午後は、Module 1と2の手技の復習を中心に、参加者との交換セッションを行なった。
いよいよ、明日(10月7日(水))から、新しい手技を学ぶ予定だ。
詳しくは「3日目を終えて〜エネルギーワークの中でトラウマをどのように扱うのか?〜意図する大切さ」に書いたので、チェックいただきたい。