【R#245】なぜ、長時間「座る」ことが身体の良くないのか?〜内臓脂肪+ストレス+慢性炎症

はじめに

みなさん、こんにちは!
東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

人間の3つの姿勢〜「座る」「立つ」「歩く」

私は、2015年6月から渋谷・恵比寿・代官山にて、ロルフィング・セッションを提供している。

ロルフィングとは、
1〜2週間に1回、手技を使って、毎回テーマに沿って施術を行う方法の一つ。

セッションを提供しているときに、
「座る」「立つ」「歩く」の3つの姿勢を見ている。
なんといっても、これらは人間の動きの中で、最も多く時間を使うからだ。

その中で、私は「座る」姿勢を見ることを重視している。
なぜならば、これを整えることで、かなりの確率で肩こり、腰痛が予防できる可能性が高まるからだ。
が、それにはもう一つ、自分でできるシンプルなセルフケアがある。

それは、30分〜1時間毎に立つこと。

今回は、3つの中で「座る」動作について取り上げつつ、なぜ立つことが必要か?
説明していきたい。

巷では、
「座る」ことは、喫煙と同じように危険だ!
といった説が唱えられることが多い。

が、

そうであるならば、ゴリラ、チンパンジーを含めた霊長類たちは座って食べているが、
「彼らはどうなのか?」
となる・・・。

そこで、
今回は、長時間「座る」と身体内で何が起きるのか?
についてまとめたい。

「座る」は、本当に危険なの?

座っている方が、立っている方よりも疲れにくく、姿勢が安定するというのは、直感的にわかるかと思う。
実際、カロリー的にどうなっているのかも、科学的に解析が進んでいる。

立っている時に使われるエネルギーは、静かに椅子に座っている時に比べ、
8〜10%のカロリー消費が見込まれる。

エネルギー的にも、身体内の基礎代謝に多くのエネルギーが注がれているので、
座る方が、人間にとって理にかなっていて、実際、「立つ」よりも「座る」というのは
本能的にあると思う。

一方で、
「座る」は現代の「喫煙」で危険だ!とも言われており、
デスクワークは良くないと、叫ばれることが多い。
なぜ、そのように言われているのか?

ダニエル・リーバーマンさんの「運動の神話」は、この点に関してわかりやすく
説明しているので、この本の内容を中心に、説明を試みたい。

長時間「座る」ことで起きることは?

長時間「座る」ことで、
1)身体を動かさないので、脂肪(特に内臓脂肪)が溜まる(→内臓脂肪が多いと慢性炎症を起こす)
2)血中のブドウ糖、中性脂肪を細胞が取り込みにくくなる
3)社会的なストレスによってストレスホルモン(コルチゾール)が増加、内臓脂肪が増える
4)筋肉が働かないので、慢性炎症が起きやすくなる
のリスクが高まる。

結論から言うと、
「座る」時に、身体が動かないから、結果的に、身体に悪影響を及ぼす
ことがわかっている。

もちろん、
長時間「座る」ことによる、身体の姿勢の変化
も見逃せない。

そこで
ロルフィングでは、
身体に負担のかからない姿勢になるために、「座る」姿勢を見て、整える。

そして、
なるだけ30分おきに立つようにと指導する。
その理由は、
「座る」ことをずっと行なっていくと、慢性炎症が起きて、
身体に悪影響を及ぼす可能性が高まるから。

長時間「座る」ことによる4つのリスクについて、説明していきたい。

「座る」と脂肪との関係〜内臓脂肪を貯めると・・・

実は、普通普通の脂肪は、無害どころか・・・健康に大いに役立つ。
脂肪の大部分は皮下脂肪。臀部、乳房、頬、足といった部分につく脂肪のことだ。
これらは、
皮下脂肪は、長期にわたるカロリー不足に対処するように
できている

これらの脂肪から出す物質には、食欲に働きかけるものや生殖機能に大事な働きをするものまである。

一方で、内臓脂肪(心臓、腹部、肝臓、筋肉など)に溜まる脂肪がある。
こちらも適度な量(全体重の1%)だと無害だし、
長距離を走る、ジョギングなどの大量のカロリーを素早く使うときに役立つ。

すなわち
内臓脂肪は、短期にわたるカロリー不足に対処するように
できている。

厄介なのは、肥満になると、脂肪は炎症を起こす原因となる。

脂肪細胞が大きくなり過ぎて、膨らみすぎると、内臓の中でゴミ袋がたくさん入ったような状態へ。
炎症を引き起こす物質(アディポカイン)を出し、免疫系の細胞(白血球)を引き寄せてしまう。

実は、内臓脂肪が膨らむ方が、皮下脂肪が膨らむよりも危険なのだ。
このように、内臓脂肪によって慢性的に炎症状態が起きる(リスクの1番目)。

過度な内臓脂肪の兆候は、太鼓腹やりんご型の体型だ。
筋肉や心臓、肝臓などの周囲や、内部に内臓脂肪が多くついている「痩せ型肥満」の場合もある。

いずれの場合、座りすぎというよりも、体重が増加しすぎに原因があると言われている。
快適な椅子に座っていれば、筋肉に負担がかからないからだ。

しかも、「座る」状態が長く続くと、血液中の糖(ブドウ糖)や脂肪(中性脂肪)を身体が取り入れなく
なり、これが結果的に、慢性炎症を招いてしまう(リスクの2番目)。

なぜストレスが慢性炎症を起こすか?

一方で、通勤、過酷なデスクワーク、病気や障害などによって「座る」ことが余儀なくされると
厄介なことが起こる。

ストレスホルモンの一つ、コルチゾールが上昇。

この場合は、糖(ブドウ糖)や脂肪(中性脂肪)が大量に血流に必要な状態を招く。
結果、更に、糖分や脂肪分の多い食べ物を欲しがらせ、過食へ。
結果的に、皮下脂肪ではなく、内臓脂肪を増やすように仕向けてしまう。

実は、短期間のコルチゾールは問題がないのだが、
慢性的に低量のコルチゾールが出ると、肥満と慢性炎症が進んでしまうのだ(リスクの3番目)。

そして、筋肉を動かす意味として、最近注目されているのが抗炎症作用だ。

筋肉の新しい働き〜炎症を抑える作用

筋肉は身体を動かすことのほかに、分泌器官としての働きもある。
実は、筋肉から物質(ミオカイン)を出し、
代謝、血液循環、骨などの影響を与え、かつ、炎症の抑制にも役立つらしいことがわかってきた。

面白いのは、中強度から高強度の運動を行うときに、運動によって引き起こされる身体内ストレス(損傷)
を事前に予防・修復するために先を越して炎症反応を起こす。

その後、炎症のない状態に戻すために、より大規模な2回目の抗炎症反応を起こすことが判明している。

よく、運動した後に、風邪を引き、体調が悪くなるけど、その後体調がより良くなるという経験
がある方がいらっしゃるかと思うが、まさに、この働きが大きい。

筋肉を使った身体活動による抗炎症作用は、ほとんどの場合、炎症を起こす作用よりも強力で持続的に起きる。
このように、筋肉は身体の3分の1を占めるので、活発に活動する筋肉は、強力な抗炎症作用を発揮する。

控え目な身体活動であっても慢性炎症のレベルが低下して、その効果は肥満体型の人にも現れるとのことだ。

まとめ

「座る」ことに関して、色々なことがわかってきたが、
身体の姿勢を整えるのと同時に、30分〜1時間に一度起き上がって、気分転換をする。
このような少しの動作だけでも、効果があると思うので、
ぜひ、試されるといいと思う。

少しでも、この投稿が役立てれば幸いです。